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同所性肝移植をうける患者に必要な吸入麻酔薬セボフルラン濃度は低い

・セボフルランは揮発性麻酔薬で、末期肝疾患(ESLD)で同所性肝移植(OLT)をうける患者の麻酔維持に最もよく使われている。蓄積されているエビデンスによれば、ESLD患者は肝機能が保たれている患者にくらべて、麻酔薬必要量が減少している。揮発性麻酔薬の効力は、最小肺胞濃度(MAC)として表現される。この前向き盲検研究で比較したのはセボフルランMACで、OLTをうけたESLD患者と大きな腹部手術をうけた肝機能正常患者とでくらべた。

・プロポフォールで麻酔を導入した後、セボフルランMACの評価は初めの皮膚切開に対する運動反応でおこなったが、OLTをうけた患者と大きな腹部手術をうけた肝機能正常患者でみた。MACの決定はディクソンの上下変動法でおこない、両群で比較した。加えて、バイスペクトラルインデックス値を皮膚切開直前と直後で記録した。

・OLTをうけた20人の患者と対照患者20人がこの研究に含まれた。OLTをうけた患者のセボフルランMACは1.3%(95%信頼区間[CI]、1.1〜1.4)であった。それに比較して、肝機能正常患者のセボフルランMACは1.7%(95% CI、1.6〜1.9)で、この相対的な26%の減少したものがESLD患者のMACと同等であった。バイスペクトラルインデックス値は対照患者よりもESLD患者で高く、皮膚切開3分前(47[95% CI、40〜53] vs 35[95% CI、31〜40]、P= .011)、皮膚切開1分前(48[95% CI、42〜54] vs 37[95% CI、33〜43]、P= .03)、皮膚切開1分後(57[95% CI、50〜64] vs 41[95% CI、36〜47]、P< .001)でそうであった。

・この結果によれば、ESLD患者のセボフルランMACは、プロポフォールで導入した麻酔後で、肝機能正常患者より低かった。しかしながら、我々は皮膚切開時のプロポフォール濃度を測定していなかったので、MACの差異は残存プロポフォールが皮膚切開時に残っていないか注意して解釈するべきである。




by anaesthetist | 2017-07-18 22:11 | 吸入麻酔薬 | Comments(0)