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病院規模での股関節骨折手術へ脊柱管麻酔使用と転帰の関連性:集団関連コホート研究

・股関節骨折手術へ脊柱管麻酔使用においては麻酔の統括権限の範囲によって、ある一定の大きな偏りがある。我々は病院規模での脊柱管麻酔使用と、30日生存率(主要評価項目)や入院日数・費用(副次評価項目)の関連性を、患者個々での使用とは独立して、評価した。

・集団関連コホート研究をカナダ・オンタリオ州のリンク関連データを用いておこなった。65歳以上で2002年から2014年までの全ての股関節骨折患者を同定した。それぞれの患者で股関節骨折患者が手術の前年に脊柱管麻酔をうけた割合を調査した。多層式多変量回帰分析を用いて、病院規模での脊柱管麻酔使用割合の対数変換したものと転帰の関連性を調べ、患者個々での麻酔方法と交絡因子で調整した。

・107317人の患者のうち、57080人(53.2%)が脊柱管麻酔であった;使用率は病院毎で0〜100%とさまざまだった。合計で、患者の9122人(8.5%)が手術30日以内に死亡した。生存率は病院規模での脊柱管麻酔使用が増加すると独立して向上した(P=0.009)。一次解析と感度分析によれば、生存率改善の大半は病院での脊柱管麻酔使用が20〜25%より上となって実現された;この状況より上へ生存率の実質的な上昇はみられないようだった。病院規模での脊柱管麻酔使用と他の転帰の間で有意な関連はなかった。

・病院の股関節骨折手術で20〜25%以上の脊柱管麻酔を使用すると、患者個々での麻酔方法や交絡因子と独立して、生存率を向上した。この関連性の原因となる根本的な機序を知るには、前向き研究で股関節骨折患者の周術期ケアと転帰を向上させるものを調べる必要がある。




by anaesthetist | 2017-10-06 23:26 | 脊柱管内ブロック | Comments(0)