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トリプルロー警告は死亡率を減少しない:リアルタイム無作為化試験

・トリプルロー事象(平均動脈圧<75mmHg・バイスペクトラルインデックス<45・最小肺胞濃度分圧<0.8)は死亡と関連するが原因ではないだろう。この研究で検証した仮説として、医師へのトリプルロー警告により90日死亡が減少する、とした。

・非心臓手術を揮発性麻酔薬でうけバイスペクトラルインデックスのモニタリングをされた成人をトリプルロー事象で電子的に検出した。トリプルロー事象となった患者をリアルタイムで無作為化して、医師へ『血行動態補助考慮』という警告をするかしないかに割りつけた。患者は治療で盲検化された。トリプルロー事象に役立った対応の定義として、5分以内に血管作動薬投与か15分以内に終末呼気揮発性麻酔薬濃度の20%減少、とした。

・規準をみたした患者のなかで36,670人中7,569人(20%)がトリプルロー事象となり無作為化された。7,569人の全員が一次解析された。90日死亡は警告群で8.3%、非警告群で7.3%であった。警告と非警告に対するハザード比(95% CI)は1.14(0.96、1.35)であった;P=0.12となり、事前に決めた無益境界をまたいだ。臨床的な対応は各群のおよそ半数の患者で役立ち、警告患者の51%、非警告患者の47%がトリプルローとなった後に血管作動薬を投与されるか麻酔薬濃度を下げた(P<0.001)。トリプルロー事象への対応と調整90日死亡に関連性はなかった。

・トリプルロー事象に対するリアルタイム警告は90日死亡の減少につながらず、予想していたよりも警告に対応していなかった。しかしながら、対応の有無に関わらず同等の死亡から、トリプルロー事象への対応と死亡には強い関連性はない、といえる。




by anaesthetist | 2018-10-18 20:24 | 血行動態 | Comments(0)