・さまざまな機器を使って非挿管の患者では呼吸回数をモニターする。標準となるべく技術はまだない。この研究の主要目的として、参考センサー信号(呼吸インダクタンスプレチスモグラフィバンド)と7つの代替センサー信号(鼻カプノメーター・鼻圧トランスデューサ・口鼻気流測定・腹部加速度計・経肺電気インピーダンス・気管周囲マイクロフォン・光電式プレチスモグラフィ)を使って、鎮静された非挿管の仰臥位にあるボランティアの低呼吸回数を測定するときの、許容範囲の誤差を評価した。単一の呼吸感知アルゴリズムに基づいて統一されたアプローチをそれぞれのセンサーにあてはめて、比較しやすいようにした。我々の仮説として、全てのセンサー信号が参考センサー信号の±2呼吸/分以内で低呼吸回数(<10呼吸/分)を感知できる、とした。

・ボランティアは選択した目標血中濃度同士でレミフェンタニルとプロポフォールを投与され、換気低下を誘発された。それぞれのセンサーからの信号を同一の閾値に基づいた感知アルゴリズムで分析して、呼吸回数を測定した。ブランド・アルトマン法による誤差の許容範囲と誤差頻度の分析をおこなって、参考センサーと比較した、それぞれのセンサーの性能を特徴づけた。

・ブランド・アルトマン法と誤差頻度分析を使った、加速度計とカプノメーターによる信号の分析によれば、これらが7つのセンサーの中で最高の呼吸回数一致率(1.96×標準偏差)となり、それぞれ-2.1〜2.2呼吸/分と-2.5〜2.7呼吸/分であった。他のセンサー信号は全て、誤差の許容範囲が広くなってしまい、インピーダンスが最も広くて-7.8〜7.4呼吸/分であった。腹部加速度計においては、ブランド・アルトマン法によるデータプロットの95%が±2呼吸/分以内であった。カプノメーターにおいては、データプロットの96%が±2呼吸/分以内であった。鼻圧・気流測定・マイクロフォンは全て、データプロットの80%以上が±2呼吸/分以内であった。インピーダンスと光電式プレチスモグラフィによる信号はそれぞれ、58%と64%であった。

・統一されたアプローチをさまざまなセンサー信号にあてはめて、自発呼吸している非挿管の鎮静されたボランティアの呼吸回数を評価することができた。しかしながら、臨床的に低呼吸回数(<6呼吸/分)と関連したものを感知することは技術的に困難であった。我々の分析によれば、緩徐な呼吸回数を充分な正確性(参考センサー信号の±2呼吸/分以内)で感知できる単一のセンサーはなかった。評価したセンサーのうち、カプノメーターと腹部加速度計が低呼吸や中枢性無呼吸を同定するのに最も信頼できるセンサーだろう。




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# by anaesthetist | 2018-09-25 23:09 | モニター管理 | Comments(0)

・頸動脈内膜剥離術二対する最適な麻酔方法に関しては諸説が存在する。我々の目的として、頸動脈内膜剥離術に対する局所麻酔と全身麻酔の周術期転帰を比較評価した。電子的情報源を系統的に検索し、それぞれの電子データベースでシソーラス用語・検索エンジン・制限のパラメータに合わせて全文検索と対照単語を統合して検索をおこなった。周術期脳卒中・一過性脳虚血発作・死亡・心筋梗塞を主要評価項目とした。12の無作為化比較試験と21の観察研究で、合計58,212人の患者が頸動脈内膜剥離術を局所麻酔か全身麻酔でうけた報告を同定した。観察研究の分析によれば、局所麻酔が全身麻酔とくらべて有意に低い頻度と関連したものは、脳卒中(オッズ比(OR)(95% CI) 0.66(0.55〜0.80)、p<0.0001)・一過性脳虚血発作(0.52(0.38〜0.70)、p<0.0001)・心筋梗塞(0.55(0.41〜0.75)、p=0.0002)・死亡(0.72(0.56〜0.94)、p=0.01)であった。無作為化比較試験の分析によれば、局所麻酔と全身麻酔で有意な差がみられなかったリスクは、脳卒中(0.92(0.67〜1.28)、p=0.63)・一過性脳虚血発作(2.20(0.48〜10.03)、p=0.31)・心筋梗塞(1.25(0.57〜2.72)、p=0.58)・死亡(0.61(0.35〜1.05)、p=0.07)であった。無作為化試験の逐次解析によれば、Z曲線が脳卒中・死亡・一過性脳虚血発作に対するα消費境界や無益境界と交わることはなく、結論をえるにはもっと研究が必要なことが示唆された。観察研究のメタ分析によれば、頸動脈内膜剥離術に対する局所麻酔は全身麻酔とくらべて、周術期の死亡や合併症罹患がより低いことと関連するだろう。無作為化研究では局所麻酔の有益性を確定できていないが、これはこうした研究の統合された統計学的検出力が不足しているためだろう。
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# by anaesthetist | 2018-09-24 22:03 | 外科医・手術 | Comments(0)

・術後呼吸器機能低下(RD)をきたすリスクのある患者を見分けることはまだ果たせていない。我々の仮説として、麻酔後回復室(PACU)に滞在している最後に、あらかじめ決めた低分時換気量イベント(LMVe)により一般病棟(GHF)でのRDリスクのある患者を同定できる、とした。

・前向き観察研究デザインである。

・三次医療で都会にある大学医療センターでおこなった。術後最初の夜はPACUとGHFに滞在した。

・患者はASAI〜IIIの成人で、全身麻酔下で待機的手術をうけて、119人が研究を完了した。

・データ収集は、術後最初の夜を通して、非侵襲的な呼吸量モニターと周術期の患者診療録からえた。

・分時換気量(MV)・一回換気量(TV)・呼吸回数(RR)をPACUとGHFで持続的に測定した。MVは個々人で予測されたMV(MVpred)のパーセントとして計算し、RDの定義はGHFで時間あたりのLMVeが1回以上とした。PACU退室前30分でのLMVeの回数に基づいて、患者をA群、『リスクなし』:LMVe 0回と、B群、『リスクあり』:LMVe 1回以上、に区分けした。対応のないt検定・マン-ホイットニーのU検定・ANOVA・クラスカル-ウォリス検定・フィッシャーの正確検定・感度/特異度/ROC曲線分析を適宜、あてはめた。

・106人(89%)と13人(11%)の患者がそれぞれ、A群とB群の規準をみたした。後者の群はGHFで時間あたりのLMVe回数が多く(中央値 0.81 vs 0、p≦0.001)、B群のMVpredは有意に少なかった。オピオイド投与後、LMVeの見込み回数はB群で43%、A群で5.6%であった。GHFでのRD予測因子として、PACU滞在最後30分でのLMVe回数は、陽性予測値と陰性予測値がそれぞれ、61.5%と90.6%であった。

・この研究で記載されたPACUでの分時換気量評価は、術後呼吸機能低下のリスクがある患者を同定するのに役立つだろう。

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# by anaesthetist | 2018-09-23 22:49 | 術前・術後管理 | Comments(0)

・『ネコにおけるサクシニルコリン投与後の頭蓋内と血行動態の変化』(Cottrell JE, Hartung J, Giffin JP, and Shwiry B. Anesthesia & Analgesia 1983; 62:1006-9)からの再掲許可済み。

・ネコにおいて、サクシニルコリンのボーラス投与(1.5mg/kg)により頭蓋内圧(ICP)が有意に上昇し、正常状態では8±1mmHgの対照レベルから16±3mmHg(±SEM標準誤差、P<0.01)へ、人工的にICPを上昇させた状態では27±1mmHgの対照レベルから47±4mmHg(P<0.01)へとなった。こうした、およそ100%のICP増加は平均動脈圧の一時的な減少(およそ10秒)をともない、その後、平均動脈圧は15〜20%増加した(P<0.05)。肺動脈圧は20〜30%増加した(P<0.05)。こうした結果を、これまでにヒトでえられた結果と総合して考えると、サクシニルコリンは脳神経外科患者では禁忌であると示唆される。




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# by anaesthetist | 2018-09-22 22:13 | 脳灌流・脳圧 | Comments(0)

・肺の障害がない患者においてエビデンスが積み重なっていることだが、一回換気量(VT)の減少が集中治療室(ICU)や手術室(OR)での予後を改善する。しかしながら、このエビデンスがどの程度、肺の障害がない患者における呼吸器設定で臨床的に変化がみられるか不明である。呼吸器設定が変化しているかどうかを明確にするために我々は、MEDLINE・Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)・Web of Scienceを検索してICUやORでの侵襲的呼吸器に関する文献を対象とし、18歳未満の患者や急性呼吸促迫症候群(ARDS)の患者が25%を超える試験を除外した。主要評価項目は、時間経過におけるVTの時間的変化、とした。副次評価項目は、最大気道内圧・平均気道内圧・呼気終末陽圧・吸入酸素分圧の変化、ARDSの発症(ICU研究のみ)、術後肺合併症(OR研究のみ)を相関分析と線形回帰分析を用いて検証した。我々が同定したのは、96のICU研究と96のOR研究で1975年から2014年までの130,316人の患者を対象とし、ICUでみられたのは、VTの容量が1年で0.16mL/kgごと減少した(-0.19〜-0.12mL/kg)(P< .001)一方で、呼気終末陽圧は平均0.1mbar/年(0.02〜0.17mbar/年)増加した(P= .017)。ORでみられたのは、VTの容量が1年あたり0.09mL/kgごと減少した(-0.14〜-0.04mL/kg/年)(P< .001)。VTの変化は1995年以降はなくなった。他の術中における呼吸器設定は研究期間中に変化しなかった。ARDSの頻度(ICU研究)や術後肺合併症の頻度(OR研究)も時間経過して変化しなかった。我々の所見によれば、1975年から2014年までの39年間で、臨床研究における人工呼吸器のVTはICUとORで有意に減少した。
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# by anaesthetist | 2018-09-21 22:40 | 肺換気・片肺換気 | Comments(0)