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・神経障害性疼痛は末梢神経系や中枢神経系への障害からおこり、異常なナトリウムチャネルのアップレギュレーションで神経細胞の過剰興奮が原因となる。リドカインはこれらのチャネルをブロックし、いくつかの研究では静注(IV)リドカイン注入により末梢神経の慢性神経障害性疼痛のある患者で短期的に(6時間まで)優位な疼痛緩和をもたらすことが示された。我々の目的として、IVリドカインが長期的に(4週まで)優位な疼痛緩和と全般的なQOL向上をもたらすかどうかを検証しようとした。

・この単施設無作為化二重盲検交差試験では、少なくとも6ヶ月の期間にわたり末梢神経由来の慢性神経障害性疼痛のある患者で、IVリドカイン注入(5mg/kg)とジフェンヒドラミン(50mg)を含んだ活性プラシーボ注入を比較した。主要評価項目は、注入後4週でのプラシーボとくらべた、IVリドカインによる平均疼痛強度緩和、とした。副次評価項目には、身体活動変数・気分・全般的なQOL、が含まれた。

・この試験の対象となった34人は、たいていは疼痛性の糖尿病性神経症と帯状疱疹後神経痛の患者であった。どの評価項目で、どの時点でも、IVリドカインとプラシーボ注入とで優位差はなかった。4週での平均(標準偏差)疼痛強度はプラシーボ群とリドカイン群で差はなかった[それぞれ、6.58(1.97) vs 6.78(1.56);群間差、0.17;95%信頼区間、-0.50〜0.84]。

・末梢神経の慢性神経障害性疼痛に対して、対照注入とくらべたIVリドカインの、長期的な鎮痛やQOL上の優位な利点はみられなかった。

# by anaesthetist | 2019-05-24 23:45 | ペインクリニック | Comments(0)

・フェイスマスク換気は気道管理の必須な要素である。フェイスマスク換気の困難性を正確に予測することで、リスクのある患者の合併症罹患や死亡のリスクを減少させる可能性がある。我々の目的として、麻酔中のフェイスマスク換気困難を予測する加重リスクスコアを作成し評価しようとした。解析した46,804人の成人患者による集団では、困難気道管理の13の予測因子を術前に気道評価し、続いて全身麻酔中にフェイスマスク換気をおこなった。我々の目的として、2つの連続した段階をふんで、フェイスマスク困難(DIFFMASK)スコアを作成した:まず、多変量回帰分析をおこなった;続いて、修正回帰モデルの回帰係数を臨床的に応用できる加重ポイントスコアに転換した。DIFFMASKスコアの予測正確性を受信者操作特性曲線で評価して判断した。フェイスマスク換気困難の有病率は1.06%(95%CI 0.97〜1.16)であった。回帰係数を0・1・2・3ポイントへ変換すると、積算したDIFFMASKスコアは0から18ポイントの範囲となり、受信者操作特性曲線下面積は0.82であった。ヨーデン指標によると、合計スコア≧5をフェイスマスク換気困難予測の最適なカットオフ値とすれば、感度85%と特異度59%であった。DIFFMASKスコアを使えば、6〜10ポイントスコアはフェイスマスク換気を予定した場合に注意すべき患者群をあらわしており、それとくらべて、そうではない患者は明らかに困難リスクが高いか低かった。DIFFMASKスコアは、臨床現場において役立つ可能性があるが、外的な前向き妥当性を検討する必要がある。




# by anaesthetist | 2019-05-23 23:55 | 気管内挿管・マスク換気 | Comments(0)

・術後認知機能障害(POCD)は心臓手術後によくおこる。近赤外線分光法(NIRS)を使って局所脳酸素飽和度(rScO₂)をモニターし、rScO₂が低下したときに熱心に介入することでPOCDの頻度を最小化しようと試みた。しかしながら、術中rScO₂とPOCDの関連性ははっきりしない。

・この二次分析をした無作為化試験では、医師盲検化したNIRSモニタリングと認知機能テストを病院退院時と手術後3ヶ月におこなった。術中rScO₂値と病院退院時・手術後3ヶ月でのPOCDの関連性を調査した。あらかじめ特定した当該予測変数候補を術前値からrScO₂が10%以上低下したところで術中に時間積算した。

・153人の患者で完全なNIRSデータと退院時の神経認知評価をえられ、これらの患者のうち44人(29%)がPOCDであった。3ヶ月の時点では、148人の患者で完全なデータがえられ、これらの患者のうち12人(8%)がPOCDであった。rScO₂が術前値より10%以上低下した時間の中央値は、退院時におけるPOCDの有無にかかわらず、患者で差異はなかった(差=0.0分;ホッジズ・レーマン95%信頼区間、-3.11〜1.47、P=0.88)。他のrScO₂時間閾値で評価されたものもまた、退院時におけるPOCDの有無にかかわらず、患者間で優位差はなかった。これは、rScO₂の絶対値と、術前値からの相対変化量の双方にも当てはまった。同様の結果が3ヶ月の時点でのPOCDとの関連性でもみられた。

・術中rScO₂値とPOCDの間に、優位な関連性はみられなかった。こうした所見から、POCDを予防しようとする場合にrScO₂低下を避けようとする合理性に疑問があがる。




# by anaesthetist | 2019-05-22 23:04 | 脳波モニター | Comments(0)

・静注(IV)メロキシカム製剤は、中等度から高度の疼痛管理に対して開発された。この研究では、開腹腹式子宮全摘後におけるIVメロキシカムの安全性と有効性を評価した。IVメロキシカムは研究用製剤で、米国食品医薬品局には認可されていない。

・女性(N=486)で開腹腹式子宮全摘後に中等度から高度の疼痛がある患者を対象とし、多施設無作為化二重盲検プラシーボ実薬比較試験でおこなった。患者は単回投与で、IVメロキシカム(5〜60mg)・プラシーボ・モルヒネ(0.15mg/kg)のどれかを無作為に、術後1日のモルヒネ投与後6時間以内に投与されて、24時間で評価された。レスキューでモルヒネ(IVでおおよそ、0.15mg/kg)が、研究薬剤で疼痛緩和できないときには必要に応じて利用できた。非盲検にした段階で(N=295)、IVメロキシカムが残りの入院滞在中(か、研究者の判断で)一日一回投与された。共有する主要安全性評価項目は、投与後0時間から24時間までの、合計疼痛強度差異(SPID24)と総疼痛緩和(TOTPAR24)、とした。効果量という、標準偏差(SD)で報告された平均間の標準化差を計算して、さまざまな介入群で測定された鎮痛効果の平均値の、差の程度を示そうとした。

・モルヒネかIVメロキシカムを投与された患者は中央値で6〜8分以内にはじめ疼痛が緩和した。モルヒネとIVメロキシカム5〜60mgにより、SPID24とTOTPAR24においてプラシーボよりも統計学的に優位差がみられた。IVメロキシカム5〜60mgにおけるSPID24(標準誤差[SE])は、−56276.8(3926.46)から -33517.1(3930.1;P< .001)であった;モルヒネとプラシーボに対するSPID24(SE)はそれぞれ、-29615.8(3869.2;P< .001)と4555.9(38.7.1)であった。IVメロキシカム60mg・30mg・15mg・7.5mg・5mgとモルヒネに対するSPID24の効果量(95%信頼区間)はそれぞれ、1.93(1.61〜2.35)・1.70(1.35〜2.05)・1.28(0.95〜1.60)・1.25(0.90〜1.61)と1.12(0.77〜1.45)SDsであった。IVメロキシカム5〜60mgにおけるTOTPAR24(SE)は、3104.5(155.28)から4130.4(191.17;P< .001)であった;モルヒネとプラシーボに対するTOTPAR24(SE)はそれぞれ、2723.3(188.4;P< .001)と1100.6(185.4)であった。IVメロキシカム60mg・30mg・15mg・7.5mg・5mgとモルヒネに対するTOTPAR24の効果量(95%信頼区間)はそれぞれ、2.03(1.70〜2.35)・2.05(1.70〜2.40)・1.78(1.43〜2.13)・1.35(1.03〜1.67)・1.37(1.01〜1.72)と1.10(0.75〜1.45)SDsであった。二重盲検中の総オピオイド消費量の平均値(SD)は、IVメロキシカム60mg・30mg・15mg・7.5mg・5mg群とモルヒネ群とプラシーブ群の患者でそれぞれ、4.6(8.17)・5.3(8.85)・5.9(7.85)・8.5(9.67)・9.3(9.47)と9.6(8.12)と16.0(10.15)であった。一般的に、IVメロキシカムはよく許容され、プラシーボにくらべた有害事象頻度・死亡例や治療関連重大有害事象なしということからも分かった。

・IVメロキシカム5〜60mgの投与量は、通常の許容範囲であり、開腹腹式子宮全摘術後の中等度から高度の疼痛のある患者においてオピオイド消費量を減少させるようである。IVメロキシカムを一日一回投与することで投与後6〜8分以内に鎮痛効果をもたらし、これは24時間の投与間隔で維持された。

# by anaesthetist | 2019-05-21 23:19 | 疼痛管理 | Comments(0)

・一時的なものや継続する低酸素血症は術後よく記述されているが、今のところ、ERASプロトコルでおこなわれた最小侵襲結腸直腸手術後の一時的な低酸素血症の頻度を検証した研究はない。目的として、ERASプロトコルでの最小侵襲手術後低酸素血症の頻度と、モルヒネ使用・皮膚切開部位・飲水・トロポニン高値との関連性を、説明しようとした。我々のおこなった前向き観察研究では、85人の直腸結腸癌で最小侵襲手術をうけた患者を対象とし、それは2016年8月25日から2017年8月17日におこなわれた。パルスオキシメーターを術直後から1Hzの測定速度で退院までか術後2日までつけて、酸素飽和度を測定した。トロポニンIの測定は、術後最初の4日間か退院までおこなった。入院滞在日数の中央値(IQR[範囲])は、3(2〜4[1〜38])日であった。患者の36%が1時間以上の酸素飽和度90%未満となり(手術当日の4.2%)、酸素飽和度88%未満となった手術当日の割合の中央値は1.3(0.2〜11.1[0.0〜21.4])%であった。酸素飽和度88%未満となった時間との関連性で、モルヒネ使用(p=0.215)・飲水(p=0.446)・罹患合併症(p=0.808)・抜歯部位(p=0.623)とはどれも関連なかった。トロポニンIの術後高値は、酸素飽和度88%未満となった時間(p=0.026)と低呼吸数エピソード(p=0.003)の双方と関連した。最小侵襲手術とERASプロトコルでもってさえ、一時的な低酸素血症や低呼吸数エピソードはよくあることであるが、モルヒネ使用・飲水・皮膚切開部位とは関連しなかった。さらなる研究により、低酸素血症とトロポニン高値の関連性を調査すべきである。




# by anaesthetist | 2019-05-21 08:10 | 術前・術後管理 | Comments(0)