・疼痛スコアは臨床現場では日常的に報告されており、この日常的に測定されている患者により報告された変数が、術前オピオイド使用者集団において術前と周術期の変数を考慮した後に、特に慢性オピオイド使用に関する予後情報を予測できるかどうかを調べようとした。

・32874人の術前からオピオイド使用歴があり、初回膝関節全置換術を退役軍人病院で2010年から2015年にうけた患者で、急性痛を低くか高く報告した患者の術前と周術期の特性を比較した(術後1〜3にかけての平均スコア≦4/10か>4/10)。すべての利用できるデータに基づいて、急性痛がより低い傾向を計算した。1:1で傾向スコアをマッチング後、急性痛のみにおいて異なる同様の患者を同定して、術後3ヶ月を超えて慢性的に有意なオピオイド使用の割合(モルヒネ等用量で平均30mg/日以上)・退院時処方・術後と術前の投与量カテゴリーでの変化、を比較した。感度分析により投与量増加との関連性を調べた。

・慢性的に有意なオピオイド使用の割合(全体で21%)は、急性痛が低い患者と高い患者で差異がみられた(全体集団のうち、36% vs 64%)。傾向マッチングして(合計でn=20926人の患者)すべての有意な要因で調整した後、低い急性痛と関連があったのが、慢性的に有意なオピオイド使用の割合が低いこと(割合 12% vs 16%)・退院時処方の少なさ(例えば、30日以内の処方や経口モルヒネ等用量30mg/日未満)・より少ない投与量、であった(すべて、P<0.001)。感度分析では、投与量増加は低い急性痛の可能性が15%低くなった(オッズ比、0.85;95%信頼区間、0.80〜0.91)。

・急性痛は慢性オピオイド使用を予測する。前向き研究で急性痛を減少させようとする施策が長期的な効果の点から必要である。

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# by anaesthetist | 2018-07-17 22:56 | 疼痛管理 | Comments(0)

・区域麻酔は悪性腫瘍の長期予後に有益な役割をはたいている可能性がある。特に示唆されているのが、区域麻酔により胃癌や食道癌を含めた消化器癌手術後の無再発生存期間や全生存期間がのびることで、これは免疫や炎症の反応を調整することによる。しかしながら、ヒトの研究結果は議論のあるところである。この系統的レビューの目的として、区域麻酔が免疫調整や胃癌や食道癌の手術後再発におよぼす影響に関するエビデンスを要約した。5つの異なったデータベースを文献検索した。2人の独立したレビューワーが選ばれた論文の質をあらかじめ決めた選択基準と除外基準にしたがって分析した。無作為化比較試験はコクランバイアスリスクツールを用いてバイアス源を評価した。合計6つの研究が質分析と系統的レビューに含まれた。メタ分析をおこなえなかった理由がいくつかあり、研究間での異質性が高かったり、論文の質が低かったり、標準化された予後の定義をしていなかった、という理由であった。文献によれば区域麻酔が研究対象患者集団において炎症反応や免疫反応を調整する影響がみられることもあるが、この系統的レビューによると、胃食道癌手術後再発の減少という目標をかかげて硬膜外麻酔や硬膜外鎮痛の使用を支持したり異議を唱えたりするエビデンスはなかった。
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# by anaesthetist | 2018-07-16 23:56 | 悪性腫瘍 | Comments(0)

・この研究の目的として、病的肥満(MO)患者の麻酔導入期におけるプロポフォールの薬物動態(PD)効果(心血管虚脱による計測)を調べようとした。4つの血行動態指標[例えば、血圧と心拍出量(CO)といった3つの指標]で心血管機能を表したものを測定した。薬物動態/薬力学(PK/PD)モデルを用いて集団解析をおこない、PD変数をえた。2つのプロポフォール投与量スカラー、すなわち、全体重(TBW)か除脂肪体重(LBW)に基づいた投与量をMO対象者に適応した。PDデータはPK/PDモデルで記述した。血圧とCOはプロポフォール(2mg/kg)静注後1分以内に急速に減少した。TBW群では対照群にくらべて、プロポフォール投与時と投与後1分の血圧とCOが有意に減少した一方で、対照群とLBW群では同様のPDファイルであった。加えて、プロポフォールEC50値はMO患者で有意に低下する一方で、他のPD変数はすべて、対照群とMO対象者で同等であった。この変容はプロポフォール効果や感度がMO対象者で高いことを示していた。MO患者では、TBWよりもLBWに基づいたプロポフォール投与量の方が心血管虚脱効果が少ないために安全な選択肢であろう。




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# by anaesthetist | 2018-07-15 22:41 | 薬剤・麻薬 | Comments(0)

・アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシン2受容体遮断薬の周術期使用は、術後急性腎障害リスクの増加と関連していると考えられている。このリスクを減少させるために、こうした薬剤は周術期によく中断される。この研究の目的として、アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシン2受容体遮断薬を周術期に中断することで主要な非心臓手術後の急性腎障害リスクが減少するかどうかを調べた。待機的に消化器外科か肝臓外科の主要な手術をうける患者がこの前向き研究の選択基準に合致した。主要評価項目は、術後7日以内の急性腎障害発症とした。調整多変量モデルを用いて施設間での効果差を解析し、傾向スコアマッチングを使って治療群間での選択バイアス効果を減少させようとした。合計949人の患者がイギリスとアイルランドにある160の施設から集められた。この集団のうち、573人の患者(60.4%)が周術期にアンギオテンシン変換酵素阻害薬かアンギオテンシン2受容体遮断薬を中断した。175人の患者(18.4%)が急性腎障害を発症した;アンギオテンシン変換酵素阻害薬かアンギオテンシン2受容体遮断薬を継続した患者と中断した患者で急性腎障害の頻度に差はなかった(それぞれ、107人(18.7%) vs. 68人(18.1%);p=0.914)。傾向マッチング後によれば、アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシン2受容体遮断薬を中断しても術後急性腎障害の発症に対して予防効果をみられなかった(OR(95%CI) 0.89(0.58〜1.34);p=0.567)。
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# by anaesthetist | 2018-07-14 23:09 | 腎障害 | Comments(0)

・周術期貧血は入院中に難しい課題である、というのも、貧血と赤血球(RBC)輸血は合併症罹患と死亡の増加と関連しているためである。患者血液管理(PBM)を施行しようと、待機的手術前に貧血のスクリーニングと治療をおこなう麻酔前評価クリニックをドイツのミュンスター大学病院で制度化した。この研究の主要な目的として、術前貧血患者を静注鉄(IVI)で治療することと(主要的に)術前ヘモグロビン値や(副次的に)RBCsの使用と死亡との関連性を評価した。

・2014年4月1日から2016年7月4日までに待機的手術を予定されて2013年のRBC輸血リスク>10%の患者を術前貧血スクリーニングして、適応あればIVI治療をおこなった。患者データ・麻酔/PBMクリニック診察と手術の間の時間間隔・背景データ・術式・術前診察と手術でのヘモグロビン値の差・RBC輸血・入院中の感染症関連ICDコード・1年生存率を電子データファイルをスクリーニングして後向きに調べた。加えて、患者インタビューを有害事象・健康関連事象・感染症について電話で、麻酔/PBMクリニック受診後30日・90日・356日におこなった。

・合計1101人の患者を麻酔/PBMクリニックで待機的手術前の-28日と-1日(中央値[Q1〜Q3]、-3日[-1、-9日])に診察した。おおよそ29%の患者が貧血を呈し、この貧血患者のうち46.8%をカルボキシマルトース鉄(500〜1000mg)で治療した。初期解析において、ヘモグロビン値の中央値は非貧血患者全員で内科的治療を開始するにあたり麻酔/PBMクリニック受診と手術の間の短期化と関連した(非貧血患者の中央値で-2.8g/dL[-4、-0.9g/dL]、IVI治療なしの貧血患者での中央値差で-0.8g/dL[-2、0g/dL]とIVI治療ありの貧血患者で0g/dL[-1.0、0.5g/dL])。ヘモグロビン値は治療で代用して術前の22〜28日に最高値となった(0.95g/dL[-0.35〜1.18g/dL])。輸血選択基準のために、輸血率はこの集団で高くなった。全体として、IVI治療とRBC輸血利用との間に関連性はなかった(貧血患者におけるRBCs利用のオッズ比、IVIなし vs IVIあり:1.14;95%信頼区間、0.72〜1.82)。IVIで治療した患者と治療しなかった患者で感染症関連ICDコードを呈したのは同等であった。電話インタビューで指摘された有害事象・健康関連事象・感染症は同等であった。コックス回帰分析によれば、IVIに関わらず、貧血と生存率減少の関連性はみられなかった。

・麻酔前評価クリニックでの貧血クリニックは術前貧血を治療するのに妥当で有効な方法である。IVI補充は安全であったが、RBC輸血減少と関連があったのは産婦人科患者のみであった。この後向き分析による結論は、前向き比較試験で検証する必要がある。

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# by anaesthetist | 2018-07-13 22:27 | 術前・術後管理 | Comments(0)