人気ブログランキング |

・斜角筋間ブロックは、肩手術に対する麻酔法や鎮痛法で最も用いられるものの1つのままである。しかしながら、この斜角筋間ブロックと関連した片側横隔膜麻痺の頻度が高いために、肺機能が低下した患者ではその使用がためらわれる。この問題に取り組むために、最近の研究では鎮痛を提供する横隔神経を温存した代替手段を検証している。しかしながら、どれも片側横隔膜麻痺の重大なリスクなく手術麻酔を信頼して任せられるものがない。上神経幹ブロックの有用性はまだ研究されていない。仮説として、斜角筋間ブロックとくらべて、上神経幹ブロックが非劣性に手術麻酔と鎮痛を提供しつつ横隔神経を温存する、とした。

・この無作為化比較試験で対象とした126人の患者は、肩関節鏡の外来手術をうけた。患者は、上神経幹ブロック(n=63)か、斜角筋間ブロック(n=63)をうけた。主要評価項目は、片側横隔膜麻痺の頻度と、回復室での最悪疼痛スコア、とした。超音波を使って片側横隔膜麻痺を評価した。副次評価項目には、非侵襲的に測定した肺機能変数・オピオイド消費量・握力・有害事象・患者満足度、を含めた。

・上神経幹ブロックは、斜角筋間ブロックとくらべて、片側横隔膜麻痺の頻度を有意により低くした(62人中3人[4.8%] vs. 63人中45人[71.4%];P<0.001、調整オッズ比 0.02[95% CI、0.01〜0.07])一方で、回復室での最悪疼痛スコアは非劣性であった(0[0〜2] vs. 0[0〜3];P=0.951)。上神経幹ブロック群は、より満足度が高く、肺機能変数はより影響されず、嗄声の頻度がより低かった。握力やオピオイド消費量での差異はみられなかった。上神経幹ブロックは、術後1日での最悪疼痛スコアがより低いことと関連した。

・斜角筋間ブロックとくらべて、上神経幹ブロックにより非劣性に手術麻酔をもたらす一方で、横隔膜機能は温存された。それゆえに、上神経幹ブロックは肩手術に対する従来からの斜角筋間ブロックの代替手段となると思われた。




# by anaesthetist | 2019-07-20 23:07 | 末梢神経ブロック | Comments(0)

・この8年の後向きレビューの主要評価項目は、待機的な股関節と膝関節の全置換術における脊髄くも膜下麻酔(SA)の失敗、とした。3542のSAsのうち、合計で135の失敗が同定された(3.8%)。失敗するオッズ増加と関連する因子は、より若年(オッズ比[OR]、1.03;95%信頼区間[CI]、1.01〜1.05)・より低い体格指数(BMI;OR、1.04[1.01〜1.08])・膝関節全置換術とくらべた股関節全置換術(OR、1.90[1.28〜2.84])・L2/3とくらべたL4/5(OR、4.61[2.02〜10.54])やL5/S1(OR、7.66[2.47〜23.7])での針挿入・25ゲージ針とくらべた22ゲージ針サイズ(OR、2.17[1.34〜3.52])・等比重ブピバカインとくらべた高比重ブピバカイン(OR、1.66[1.09〜2.53])、であった。




# by anaesthetist | 2019-07-19 23:16 | 脊柱管内ブロック | Comments(0)

・目的として、婦人科手術でのオピオイド使用率を検証し、初めてオピオイドを処方された女性における慢性的なオピオイド使用を調査した。

・後向きコホート研究を、MarketScanデータベースを使っておこなった。MarketScanは訴訟を基にしたデータベースで、50万人以上のプライベート保険加入患者と12州におよぶ6百万人のメディケイド加入者からの訴訟を集めた。対象とした女性は、2009年から2016年に婦人科の小手術と大手術をうけた。オピオイド処方をうけた女性のうち、新規の慢性オピオイド使用の定義を、手術後90日から180日に追加の手術や麻酔がなくて1つ以上のオピオイド処方箋をうけた、とした。多変量モデルを用いて、臨床的背景とオピオイドの通常使用や新規の慢性使用との関連性を検証した。

・合計で729,625人の患者が同定された。全体で、患者の60.0%が周術期にオピオイド処方をうけた。オピオイド処方をうけたのは、子宮頸管拡張掻爬術をうけた患者の36.7%から、最小侵襲子宮切除術をうけた患者の79.5%まで幅広かった。周術期にオピオイド処方をうけた患者のうち、新規の慢性オピオイド使用の割合は全体で6.8%であった。新規の慢性オピオイド使用の割合は、子宮筋腫核出術で4.8%、最小侵襲子宮切除術で6.6%、腹式子宮切除術で6.7%、子宮内膜焼却術で6.3%、卵管結紮術で7.0%、子宮頸管拡張掻爬術で7.2%であった(P<.001)。多変量モデルで、子宮頸管拡張掻爬術と子宮内膜焼却術をうけた患者は、新規の慢性オピオイド使用リスクが最高であった。より若い患者・メディケイド加入者・うつ/不安/薬物使用の患者は、新規の慢性オピオイド使用によりなりやすかった(全て、P<.001)。オピオイド処方をうけている女性のうち、新規の慢性オピオイド使用の割合は時間とともに、2010年の7.0%から2016年の5.5%へと減少した(P<.001)。

・婦人科の小手術と大手術後における新規の慢性オピオイド使用の割合は、相当である。

# by anaesthetist | 2019-07-18 22:24 | 薬剤・麻薬 | Comments(0)

・扁桃周囲膿瘍(PTA)の治療は、最良のドレナージ方法に関していまだ議論の余地がある。この研究の目的として、PTAの初期治療に対して、局所麻酔下の針吸引と切開ドレナージとの有効性と安全性を比較した。

・後向きのレビューを、PTAで2つの三次医療センターに2010年11月から2016年10月までに入院した患者(年齢>15歳)を対象としておこなった。患者をドレナージ方法に応じて2群へ分けた:局所麻酔下での、針吸引か、切開ドレナージか。主要評価項目は、入院日数とした;手技を繰り返したり、手術室へ搬送する必要性もまた評価した。合併症や有害事象を各群でリストアップして、安全性を評価した。

・6年間で、182人の患者がPTAで入院し、この解析に含まれ、吸引群は82人の患者、切開群は100人の患者であった。平均年齢は36.3歳で、性別比は1.33であった。入院日数は1〜7日(平均2.7日、中央値2日)、吸引群での入院日数中央値は3.0日(四分位範囲 2〜4)、切開ドレナージをうけた患者では2.0日(IQR 2〜3)であった(p=0.009)。針吸引の反復は患者の46.3%でおこなわれたのに対して、切開群での手技の反復は10%であった(p=0.0001)。吸引群での12人の患者(14%)と、切開群での4人の患者(4%)で、全身麻酔下での追加ドレナージが必要であった(p<0.001)。両群の安全性に関して差異はなかった。

・この研究によれば、PTAで入院した患者での入院日数の有意な減少が、局所麻酔下での切開ドレナージをうけた患者で針吸引とくらべて、手技の繰り返しが低リスクとなるとともにみられた。大規模患者での、もっとデザインされた前向き無作為化研究がこうした所見を支持するには必要である。




# by anaesthetist | 2019-07-17 23:03 | 外科医・手術 | Comments(0)

・心臓トロポニン高値はある集中治療状況下で予後不良と関連している。この研究では、高感度トロポニンT(hsTnT)を含めることで、一般的な集中治療(ICU)患者・心停止患者・心停止の診断を受けていない患者に対する、単純急性生理スコア(SAPS 3)の予後診断正確性を高めるかどうかを検証した。

・我々は単施設コホート研究をおこない、三次大学病院に2010年2月から2017年6月までICU入室時にhsTnTを測定したICU患者を対象とした。

・4185の初回入室時のうち、856人の患者(20.5%)がICU入室時にhsTnT高値であった。ICU入室時hsTnT値を組みこむことで、SAPS 3の性能が上昇し正確に30日死亡を予測できるようになった(オッズ比 1.27、95%信頼区間:1.15〜1.41、p<0.001)。hsTnT高値は、心停止患者において30日死亡と独立して関連しなかった。敗血症患者では、SAPS 3評価に加えてhsTnT高値を含めることで、受信者操作特性曲線下面積を10%以上、増加させた。

・SAPS 3にhsTnT高値を加えることで、死亡に関連したこのモデルの予測能を高める。敗血症において、hsTnT値は重要な予後マーカーとなる可能性がある。




# by anaesthetist | 2019-07-16 23:44 | 集中治療 | Comments(0)