・ベッドサイドのスクリーニングテストを通常使って困難気道の高リスク患者を同定しているが、これらの臨床有用性は不明である。我々は、明らかな解剖学的異常のない成人で全身麻酔を予定された患者の気道を評価するのに普段使われているベッドサイド診察テストの診断精度を推定した。我々の検索した研究は、参照基準に対してあらかじめ決めたベッドサイド指標のスクリーニングテストを報告したもので、どんな言語でも、創刊から2016年12月16日までで、7つの書誌データベースを検索した。133の研究(127のコホート研究と6つの症例コントロール研究)で844,206人の参加者が含まれた。全体として、これらの研究方法論の質は(診断精度研究の質を評価する標準的なツールである、QUADAS-2に従うと)、中等度から高度であった。我々のあらかじめ決めたテストは以下の通りである:マランパチテスト(6つの研究);修正マランパチテスト(105の研究);ウィルソンリスクスコア(6つの研究);甲状オトガイ間距離(52の研究);胸骨オトガイ間距離(18の研究);開口テスト(34の研究);上口唇咬合テスト(30の研究)。フェイスマスク換気困難・喉頭鏡困難・挿管困難・挿管失敗がそれぞれ、7つ・92・50・2つの研究で参照基準だった。すべての参照基準に対して、すべての指標テストは相対的に感度が低くて変動率が高かったが、特異度は感度よりも一貫して著明に高かった。喉頭鏡困難に対して、上口唇咬合テストの感度と特異度(95%CI)はそれぞれ、0.67(0.45〜0.83)と0.92(0.86〜0.95)であった;上口唇咬合テストの感度(95%CI)は、開口テストのものより(0.22、0.13〜0.33;p<0.001)優位に高かった。気管挿管困難に対して、修正マランパチテストは0.51(0.40〜0.61)と優位に高い感度(95%CI)をもち、それとくらべて開口テスト(0.27、0.16〜0.41;p<0.001)や甲状オトガイ間距離(0.24、0.12〜0.43;p<0.001)は低かった。上口唇咬合テストは最も望ましい診断検査精度特性をもつが、一般的なベッドサイドでのスクリーニングテストはどれも予期しない困難気道を検出するのにうまく適しておらず、たいていのものは見逃してしまう。




# by anaesthetist | 2019-03-21 22:10 | 気管内挿管・マスク換気 | Comments(0)

・高比重ブピバカイン(ブドウ糖希釈で0.75%)が産科の脊髄くも膜下麻酔に用いられている。この状況でときおり、一連の麻酔失敗がおこり、臨床的な因子にすぐ寄与するものではない。我々の仮説として、冷温への暴露がブピバカインの不安定性に関連する、とした。

・電子的な調査がカナダの麻酔科医では普及しており、脊髄くも膜下麻酔の臨床に一貫性を検証でき、ブピバカインで失敗した症例を登録して解析できるようになっている。病院薬剤師向けの別の調査ではブピバカインに焦点をあてた。紫外(UV)分光法・示差走査熱量測定法・高速液体クロマトグラフィーを用いて、温度がブピバカインの化学的安定性におよぼす影響を評価した。質量分析法(MS)を用いて、ブドウ糖希釈した高比重0.75%ブピバカインの研究検体におけるブピバカインとブドウ糖の分解産物を観察した。陣痛して分娩する患者に十分な麻酔をかけられなかった高比重ブピバカインを、一般的に観察されるイオンに対して同時にMS/MS解析をしてブピバカイン分解産物と一致するイオンパターンを探索し、低温にさらされた研究検体を比較した。

・カナダの産科麻酔科医らは同じような臨床を報告しており、脊髄くも膜下麻酔では高比重ブピバカインを使用している。薬剤師の調査によれば、当施設の保管庫では室温だが、運送中にさまざまな温度にさらされた。失敗の報告では標準的な手技は同定されなかった。ブピバカイン分析によれば、4℃以下で保持するとブピバカイン濃度がわずかに減少したりUV分光が変化する。脊髄くも膜下麻酔失敗症例の高比重ブピバカインを質量分光法で解析すると、複雑で一定しないイオン形成パターンで、ブピバカイン溶液を冷やしたものと冷やさないものでみられるイオンパターンとは違っていた。温度が関連する変化は、ブドウ糖が関連するイオンが形成される冷やされた検体のブドウ糖で顕著だった。

・カナダの臨床現場や高比重ブピバカインの取り扱いは一貫している。たいていのものは正式な報告や症例集積の過程に関心を示している。冷温暴露でブピバカインは分解しなかった。ブドウ糖との複雑で一定しない反応が同定されたが、この機序を明らかにするのにもっと大規模な分析が必要である。




# by anaesthetist | 2019-03-20 21:55 | 薬剤・麻薬 | Comments(0)

・高齢者の試験で術後せん妄頻度を減少させる戦略で、脊髄くも膜下麻酔中の鎮静を制限すると股関節手術後の術後院内せん妄が減少するという仮説を検証した。この報告では、死亡と機能を含めた、この試験の副次評価項目を記載した。

・200人の患者(65歳以上)が脊髄くも膜下麻酔下で股関節手術をうけて、深い鎮静[観察者による覚醒鎮静評価修正スケール(OAA/S) 0〜2]か浅い鎮静(OAA/S 3〜5)に無作為化して、術後せん妄を評価した。副次評価項目は、死亡と1年での骨折前歩行レベルへの回復、とした。カプラン・マイヤー解析・多変量コックス比例ハザードモデル・ロジスティック回帰分析により、死亡と歩行能力回復へのオッズにおよぼす介入の影響を評価した。

・1年死亡率は両群で14%であった(ログランク P=0.96)。1年死亡率の独立したリスクファクターには以下が含まれた:チャールソン併存疾患指数[ハザード比(HR)=1.23、95%信頼区間(CI)、1.02〜1.49;P=0.03]・手段的日常生活動作[HR=0.74、95% CI、0.60〜0.91;P=0.005]・BMI[HR=0.91、95% CI 0.84〜0.998;P=0.04]・せん妄重症度[HR=1.20、95% CI、1.03〜1.41;P=0.02]。歩行能力が骨折前レベルへ回復するか、悪化するか、できなかったのは、1年生存者でそれぞれ、64%、30%、6%であった。浅い鎮静は1年での歩行能力回復のオッズを向上させなかった[オッズ比(OR)=0.76、95% CI、0.24〜2.4;P=0.63]。歩行能力回復の独立したリスクファクターは、チャールソン併存疾患指数[OR=0.71、95% CI、0.53〜0.97;P=0.03]とせん妄[OR=0.32、95% CI、0.10〜0.97;P=0.04]であった。

・この研究によれば、股関節骨折を脊髄くも膜下麻酔でうける高齢患者にプロポフォールによる鎮静をする際に、より深い鎮静は死亡や術後1年までの骨折前歩行能力回復において優位な差と関連しなかった。




# by anaesthetist | 2019-03-19 23:31 | せん妄 | Comments(0)

・膵十二指腸切除術や膵尾部切除術は複雑は手術であるため、高い確率で術後合併症をきたす。我々は、術後合併症と関連した因子を評価して、好中球/リンパ球比・血小板/リンパ球比・予後栄養指数といった術前血液マーカーに注目した。

・データは、膵十二指腸切除術か膵尾部切除術を2013年1月から2017年12月までに日本の三次病院でうけた患者(20歳以上)からえられたもので、後向きにレビューした。手術を完遂できなかった患者や追加の手術をうけた患者は除外された。主要評価項目は、再手術と最初の退院前における予期しない集中治療室入室で、副次評価項目は入院日数とした。多変量解析を使って、術後合併症と関連する探索的因子を同定した。入院日数の差をマン・ホイットニーU検定で比較した。

・基準を満たした238人の患者のうち、208人が年齢の中央値が71歳で解析の対象となった。好中球/リンパ球比・血小板/リンパ球比・予後栄養指数の中央値[第1四分位、第3四分位]はそれぞれ、2.65[1.69、4.04]・247[146、407]・46.0[42.0、49.7]であった。11人の患者(5.3%)が術後合併症を呈した。好中球/リンパ球比(オッズ比、1.13;95%信頼区間、1.02〜1.26;P=0.03)と出血量(100mLに対するオッズ比、1.11;95%信頼区間、1.00〜1.22;P=0.039)が独立して術後合併症と関連した。術後合併症は、より長期の入院日数につながった(19[15、28] vs 33[22、65]日、P=0.005)。


# by anaesthetist | 2019-03-18 23:28 | 術前・術後管理 | Comments(0)

・研究の目的として、手術や産科への脊髄幹麻酔に関連した、米国の麻酔従事者に対しておこされた現代医療訴訟を解析する、とした。

・この後向き分析では、2007年から2016年における管理リスク保険会社(CRICO)の相対基準システム(CBS)データベースから医療過誤データを解析した。

・手術や産科への脊髄幹麻酔に関連した、入院と外来における医療過誤を対象とした。

・45の症例が解析のために同定された。これらの患者はさまざまな手術をうけており、子どもから大人まで、年齢は6歳から82歳までであった。

・介入として、患者は手術や産科のために脊髄幹麻酔(脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔)をうけた。

・集めたデータには、患者背景・想定された損傷の種類や重症度・手術専門科・想定された損傷に寄与したと思われるもの・転帰、が含まれた。これらデータのなかには、CRICOデータベースで分類された変数から直接、抽出してきたものもあり、いくつかは叙述症例要約から集めたものもあった。

・和解金が支払われたのは、訴訟の20%であった。報告された有害転帰には、一時的な小さなものから、永続的な大きな損傷まであった。大半の医療過誤は永続的な小さな損傷に分類された。最も多かったものは、硬膜外による脱力残存や神経根症状であった。こうした損傷に最も大きく寄与する因子は、麻酔従事者の『技術的知識/技術力』に言及されており、続いて『不在あるいは記載エラー』であった。訴訟の半分以上は、産科患者(31%)と整形外科手術をうけた患者(27%)からであった。

・既往として神経根症状や併存疾患をもつ患者は、損傷するリスクが増加することをしっかりとインフォームドコンセントしておくことが求められるだろう。さらに、迅速な経過観察・モニタリング・脱力や神経根症状といった術後症状の記載が、患者の安全や満足度を向上させるのに必須である。残存する神経症状に関してタイミングよく患者や手術チームと意思疎通を図ることが、損傷の早期診断に重要である。




# by anaesthetist | 2019-03-17 23:55 | 合併症 | Comments(0)