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上腹部手術の術後疼痛管理に対しての、切開前と術後の硬膜外モルヒネ・ロピバカイン・ケタミン・ナロキソン投与

・これまでの研究で示されているように、硬膜外麻酔(EA)や全身麻酔(GA)と併用して切開前の硬膜外モルヒネ・ブピバカイン・ケタミン投与が、上腹部手術に対しての先制鎮痛として使用されてきた。最近の研究によれば、ラットでの極低容量ナロキソン投与がモルヒネによる抗侵害受容効果を増強する。この研究では、上腹部手術の術後疼痛緩和を達成するために、切開前と術後の硬膜外モルヒネ・ロピバカイン・ケタミン・ナロキソン(M+R+K+N)投与の効果を調べた。

・主要な上腹部手術を待機的にうける、ASAI〜IIの患者80人が、無作為化一重盲検研究で4つのグループに割りふられた。すべての患者はGAに併用して、疼痛レジメにそって30分後から2%リドカインの持続硬膜外投与(6-8ml/h)をうけた。GA導入後、硬膜外疼痛レジメ(計10ml)として投与されたものはそれぞれ、グループIでは、1%リドカイン(8ml)+モルヒネ(2mg)+ロピバカイン(20mg;M+R);グループIIでは、1%リドカイン(8ml)+モルヒネ(2mg)+ロピバカイン(20mg)+ケタミン(20mg;M+R+K);グループIIIでは、1%リドカイン(8ml)+モルヒネ(2mg)+ロピバカイン(20mg)+ナロキソン(2µg;M+R+N);グループIVでは、1%リドカイン(8ml)+モルヒネ(2mg)+ロピバカイン(20mg)+ケタミン(20mg)+ナロキソン(2µg;M+R+K+N)。すべての患者は、術後3日にわたり異なった疼痛レジメにそって患者管理硬膜外鎮痛(PCEA)をうけた。術後3日間、PCEA使用量・咳嗽時/動作時NRSスコア・鎮痛に関連した有害作用が記録された。

・術後3日間でのPCEA総使用量は、グループI・II・III・IVでそれぞれ、161.5±17.8ml・103.2±21.7ml・152.4±25.6ml・74.1±16.9mlであった(p<0.05)。咳嗽時/動作時NRSスコアは、術後4時間・12時間・1日目・2日目において、グループIIを除けば、グループIVで優位にグループI・IIIより低値であった。

・切開前と術後の硬膜外M+R+K+N投与は、上腹部手術において、切開前と術後の硬膜外M+R・M+R+K・M+R+Nより理想的な術後疼痛管理をもたらす。




by anaesthetist | 2017-01-02 22:20 | 硬膜外 | Comments(0)