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米国疾病管理予防センター(CDC)の手術部位感染(SSI)予防ガイドライン2017

・手術部位感染(SSIs)を治療する人的・金銭的コストは増えつづけている。米国でおこなわれる手術件数は増えており、外科患者は初診でいっそう複雑な合併症をかかえている。試算では、SSIsの約半数はエビデンスに基づいた戦略で予防可能と思われる。

・SSI予防に対しての推奨で、新たな、最新のエビデンスを提供する。

・文献検索の対象とした系統的レビューをおこなったのは、MEDLINE・EMBASE・CINAHL・CochraneLibraryで1998年から2014年4月までのものである。修正GRADEシステムのアプローチを使って、エビデンスの質・出てきた推奨度の強さを評価し、明確な関連性を提供した。文献検索で同定された関連する可能性のある5487研究のうち、5759の見出し・抄録が検出され、896のものが2人の独立した審査人によって全文をレビューされた。除外基準されたあと、170の研究がエビデンスとして抽出・評価・分類された。

・手術前に、患者はシャワー浴か入浴(全身)を、石鹸(抗菌性か非抗菌性)か消毒薬で、少なくとも手術日の前夜にすべきである。抗菌薬予防投与は、発表されている臨床ガイドラインに基づいて適応ある場合にのみ、抗菌薬の殺菌濃度が切開がはいるときには血清・組織で十分に満たされているタイミングでおこなうべきである。帝王切開手術では、抗菌薬予防投与は皮膚切開前におこなうべきである。手術室での皮膚消毒は、禁忌がない限り、アルコール系のものを使うべきである。清潔手術や準清潔手術では、追加の予防抗菌薬投与は手術室で閉創後は、ドレーンがあったとしても、すべきではない。抗菌薬の局所的な塗布は、手術創にすべきでない。手術中、血糖管理は200mg/dL未満を目標にしておこなうべきで、全患者で正常体温を維持すべきである。吸入酸素分圧の増加を、全身麻酔を気管内挿管でうけた患者で正常肺機能をもつものに対しては、手術中と術後直近の抜管後でおこなうべきである。血液製剤の投与は、SSI予防という手段として、外科患者へ保留すべきでない。

・このガイドラインの意図は、SSI予防に対しての推奨で、新たな、最新のエビデンスを提供することであり、包括的な手術の質向上プログラムにくみいれて患者安全の向上に寄与してもらいたい。

by anaesthetist | 2017-05-05 21:58 | 感染 | Comments(0)