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正常腎機能患者における腎部分切除術中のマンニトール静注とプラシーボの比較:二重盲険臨床統合比較試験

・マンニトールは現在、腎保護薬として腎保存手術(NSS)中での腎虚血の影響を緩和しようと用いられる。この日常的におこなわれる行為には厳密な方法論の上での研究に欠けている。

・目的として、NSSでの腎虚血前にマンニトールを静注したことによる術後腎機能転帰におよぼす影響を評価した。

・この前向き無作為化プラシーボ比較二重盲険試験に含まれた199人は、術前の推算糸球体濾過値(eGFR)が45ml/min/1.73㎡より大きくてNSSを予定された;この試験は2012年7月から2015年7月におこなわれた。

・NSSをうける患者は腎動静脈のクランプ前の30分以内に、無作為にマンニトール(12.5g)かプラシーボを投与されるかに割りつけられた。

・主要評価項目は、術後6ヶ月における2群間のeGFR(腎機能)差で、術前のeGFR・治療群・手術方法を共変数としての共分散モデル分析で評価した。

・ベースライン時での、患者年齢の中央値は58歳で、eGFRの中央値は88ml/min/1.73㎡であった。プラシーボとマンニトール静注を比較して、6ヶ月での0.2ポイントの補正eGFR差は有意でなく(p=0.9)、95%信頼区間(-3.1〜 3.5)の上限でマンニトールの臨床的な関連効果は除外された。研究限界として、マンニトール単回投与での評価であり、患者全員が非常に優れた術前腎機能であった。

・NSSでの術中12.5gマンニトール投与は、術前正常腎機能患者での標準的な輸液投与と比較して、臨床的に有益なことはみられなく、この状況下でのマンニトール使用は根拠がない。

・この無作為化研究において、腎機能正常患者が腎部分切除術の手術中にマンニトールを投与されたが、マンニトールを投与されなかった患者とくらべて、術後6ヶ月での腎機能は変わらなかった。結論として、この日常的におこなわれる行為はやめるべきであろう。

by anaesthetist | 2017-10-14 17:27 | 腎障害 | Comments(0)