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組織ドプラ法による心拡張機能評価と重症敗血症患者の死亡率との関連性:系統的レビューとメタ分析

・心筋機能障害は敗血症における循環不全へとつながる可能性がある。敗血症患者における左心室拡張機能不全(LVDD)と死亡率との関連性についてのエビデンスが蓄積されている。心臓超音波検査により分かるのが、組織ドプラ法(TDI)による変数であるe'やE/e'がLVDDの信頼できる予測因子であり、役立つ測定値として左心室(LV)充満圧を評価できる、ということである。

・系統的レビューとメタ分析をおこない、重症敗血症患者や敗血症性ショック患者のe'やE/e'と死亡率との関連性を調べた。一次分析において含めた研究では、経胸壁心臓超音波検査によるe'やE/e'のTDIデータとその死亡率との関連性が提示されていた。サブグループ解析は心筋の局所的なTDI評価(中隔・側壁あるいは平均として)に焦点をあてておこなった。3つの二次分析をおこなった:一つめは経食道心臓超音波検査研究からのデータを用いて、もう一つは診断後の経過時間が非常に早期(6時間未満)と晩期(48時間以上)に報告されたデータの研究を除外して、3つめは心臓弁膜症患者を除外した研究のみのデータを統合しておこなった。

・一次分析に含まれた16の研究では、重症敗血症患者か敗血症性ショック患者の1507人が含まれた。有意な関連性がみられたのが、死亡率と低いe'[標準平均差(SMD) 0.33;95%信頼区間(CI):0.05、0.62;P=0.02]や高いE/e'(SMD -0.33;95% CI:-0.57、-0.10;P=0.006)とであった。サブグループ解析では側壁のTDI値のみが有意な死亡率と関連していた(低いe' SMD 0.45;95% CI:0.11、0.78;P=0.009;高いE/e' SMD -0.49;95% CI:-0.76、-0.22;P=0.0003)。一次分析の所見は全ての二次分析により支持された。

・敗血症患者において、低いe'や高いE/e'と死亡率との間に強い関連性がみられる。

by anaesthetist | 2017-11-12 22:09 | 心機能 | Comments(0)