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成人心臓手術中のベンゾジアゼピン投与:大学医療センターで働くカナダの麻酔科医による臨床現場の調査

・ベンゾジアゼピンが心臓手術中によく投与されるのは、血行動態への影響が限られており術中覚醒を予防することを期待するためである。最近、ベンゾジアゼピンでせん妄が増加するリスクが高まる懸念があるため、集中治療室や高齢者に対する周術期現場ではその使用が減少している。しかしながら、成人心臓手術の場でベンゾジアゼピンが現在どう使われているか、ほとんど知られていない。

・カナダの大学麻酔科全部にコンタクトをとって、臨床をしているアテンディングの心臓麻酔科医を同定した;この集団が研究対象となった。研究参加者の背景・ベンゾジアゼピンの使用の有無/使用法/使用量や投与に関する他の詳細に関しては、オンライン調査で調べた。回答に対する反応は記述的に分析された。

・調査が完了したのは、心臓麻酔科医の346人中243人(70%)だった。回答者のなかで11%はベンゾジアゼピンを投与していなかった。ミダゾラムが最も使用されているベンゾジアゼピンで、平均的な患者に投与された平均(標準偏差)量は4.9(3.8)mgだった。回答者がベンゾジアゼピンを投与した患者の割合を質問されると、その回答は二峰性であった。ベンゾジアゼピン投与に最も影響していることは、患者の年齢(73%)・患者の不安(63%)・アルコール/薬物/ベンゾジアゼピンの使用歴(60%)・術中覚醒リスク因子の存在(44%)であった。

・ベンゾジアゼピンはカナダの大学医療センターの心臓麻酔科医でよく使用されている。それにもかかわらず、個々人の臨床では多様性があり、心臓麻酔でベンゾジアゼピン投与を制限しているかしていないかは、臨床的には均衡している。

by anaesthetist | 2017-12-21 22:49 | 薬剤・麻薬 | Comments(0)