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膝手術後において女性は男性とくらべて炎症レベルがより低いものの疼痛強度をより高く訴える

・これまでに我々が見いだしたことだが、膝関節鏡手術において女性は男性よりも疼痛を訴えることが多い。これが生化学反応が異なるためであるのか侵害受容性機序が違うためであるのか、はっきりしないままである。

・我々は臨床モデルで急性疼痛関連の炎症マーカーを分析し、そこでは膝手術直後の患者自己申告による疼痛を調べた。同時に92の炎症バイオマーカーを測定するために、近接プローブ伸長アッセイ(PEA)であるProseekマルチプレックス炎症Iパネル(Olink Bioscience社、ウプサラ、スウェーデン)を用いた。膝手術は、プロポフォールとレミフェンタニルによる全身麻酔下でおこなった。鎮痛薬は患者必要時にのみ投与された。

・女性は男性よりも、中等度から重度の疼痛を訴える頻度が4.9倍高かった(95%信頼区間、1.2〜19.6、P=0.024)。患者年齢・術前からの疼痛・手術時間は有意な因子ではなかった。44人の患者(23人の女性と21人の男性)からの滑液を分析した。疑陽性率の補正後、MMP-10だけが男性でより高かったバイオマーカーであった(P=0.01)。線形判別分析によれば、3つのタンパク質(IL-8・CCL-4・MCP-2)が男性において高いレベルで発現しており、差異は通常の正規化されたタンパク発現よりも多かった。女性において通常の正規化されたタンパク発現よりも多く発現しているタンパク質はなかった。

・膝関節鏡後の急性疼痛は女性でより強いが、炎症誘発性バイオマーカーやMMP-10は男性でより高かった。さらなるサイトカイン機能を知ることが、バイオマーカー発現の不均衡が臨床的に重要ではない、と結論するまでに必要であろう。性差間での同様なバイオマーカー信号によれば、中心となる機序が性特異的な関節痛覚においてより重要であろう。




by anaesthetist | 2018-02-07 21:59 | 疼痛管理 | Comments(0)