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数学的モデルが二次ガス効果の測定した大きさを説明できるか?

・最近の臨床研究によれば、二次ガス効果の大きさは揮発性麻酔薬の終末呼気分圧よりも動脈血分圧に対しての方が相当に影響をおよぼし、酸素と揮発性麻酔薬の動脈血分圧に対する二次ガス効果は笑気の取り込みが比較的低い際にも相当起きている。我々は、こうした現象の機序を数学的モデルを使って調べようとした。

・換気と血流の対数正規分布をつくって、全身麻酔中の患者でみられる換気/灌流範囲をあらわした。わずかに投与された揮発性麻酔薬(デスフルラン・イソフルラン・ジエチルエーテル)の濃度と70%笑気の有無による混合物を質量保存の法則を用いて数学的にモデル化し、二次ガス効果の大きさを揮発性麻酔薬の増大率として計算し、笑気がない場合に対する笑気がある場合の分圧と定義した。

・笑気の割合を増やすほど血液での二次ガス効果を増大させた。同時に、二次ガス効果はガス空間では減少した。血液での増大は最も溶解度の低いガス、デスフルランで最も大きく、最も溶解度の高いガス、ジエチルエーテルで最も小さく、ガス空間では逆の結果になった。

・換気/灌流不均等性のモデル化によりわかったことだが、二次ガス効果は呼気ガスよりも血液で大きかった。それゆえに、ガスでの測定を基にした最小肺胞濃度は揮発性麻酔薬と笑気での麻酔深度を過小評価する可能性がある。現在使用されているなかで最も溶解度の低い揮発性麻酔薬で、最小肺胞濃度におよぼす影響が最もでやすくなるだろう。




by anaesthetist | 2018-03-12 23:10 | 吸入麻酔薬 | Comments(0)