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オピオイド使用障害と術後肺合併症リスク

・オピオイド使用障害の頻度が上昇し続けているため、周術期に関わる医師はこうした患者に術後鎮痛を提供するという困難に直面することが増えている。周術期にはオピオイド使用量が増大する可能性が高くなるため、我々の仮説として、オピオイド依存患者は術後肺合併症リスクが増大する、とした。

・後向き横断分析を6つの代表的な待機的手術をおこなう患者におこない、2002年から2011年の全国入院患者サンプルデータベールを用いた。主要評価項目は、長期人工呼吸器・再挿管・急性呼吸不全の複合体とした。副次評価項目は、入院期間・入院中死亡・総入院費用とした。多変量ロジスティック回帰分析とプロペンシティスコア対応分析を用いて、オピオイド使用障害が転帰におよぼす影響を調べた。

・標本加重の合計は7533050人の患者となった。オピオイド使用障害患者は肺合併症を患う可能性が高く、オピオイド非依存群で1.6%であるのとくらべて、4.2%という頻度であり(P< .001)、多変量回帰分析では1.62倍高いオッズとなった(95%信頼区間[CI]、1.16〜2.27)。二次的サブグループ解析では、結腸切除術をうけた患者のみが肺合併症を呈するオッズが高かった(オッズ比、2.64;95% CI、1.42〜4.91;P= .0021)。加えて、オピオイド使用障害患者は、入院日数がより長く(0.84日[95% CI、0.52〜1.16;P< .001])、費用もよりかかった(1816ドル[95% CI、935〜2698;P< .001])。

・この研究によれば、オピオイド使用障害患者は術後肺合併症リスクが増加し、入院日数や医療資源利用が延長する。さらなる研究により、こうした患者における合併症リスクを減少させる介入を考える必要がある。




by anaesthetist | 2018-04-18 21:32 | 術前・術後管理 | Comments(0)