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術中乏尿と主要な非心臓手術後急性腎障害の関連性

・急性腎障害(AKI)を起こすのは、主要な非心臓手術をうけた患者の6.1%〜22.4%である。これまでの研究によれば、術中尿量と術後急性腎不全の関連性はみられなかった。しかしながら、こうした研究で用いた急性腎不全の定義はさまざまであった。そこで、術中乏尿と術後AKIの関連性を調べる上で、その定義を血清クレアチニン基準として、リスク・障害・不全・喪失・末期腎不全というRIFLE分類でおこない、調査した。

・この単施設後向き観察研究でスクリーニングした26984人の患者は、待機的または緊急手術を2008年9月1日から2011年10月31日にひとつの大学病院でうけた。除外基準として、18歳未満;120分未満の麻酔時間;2日未満の入院日数;局所麻酔のみ;泌尿器科手術か心臓手術;併存する末期腎疾患;血清クレアチニン・術中尿量データ・術中薬剤使用に関する情報の未測定、とした。多変量ロジスティック回帰分析を主要な分析方法として用いた。

・合計5894人の患者を分析した。術後AKIの頻度は7.3%であった。多変量分析によれば、120分以上の乏尿(オッズ比=2.104、95% CI、1.593〜2.778;P< .001)が独立して術後AKI発症と関連した。ベースラインの患者背景に関して乏尿時間が120分以上と120分未満の患者で傾向スコアマッチングをおこなうと、120分以上の乏尿患者(n=827;10%)におけるAKI頻度は、120分未満の乏尿患者(n=827;4.8%;オッズ比=2.195、95% CI、1.806〜2.668;P< .001)よりも有意に高かった。


by anaesthetist | 2018-06-27 22:22 | 腎障害 | Comments(0)