人気ブログランキング | 話題のタグを見る

深すぎる、それとも深すぎない?:外来乳癌手術への前鋸筋膜面ブロックの表層と深層における鎮痛効果の傾向対応比較

・前鋸筋膜面ブロックは乳癌手術後疼痛を減少させることができるが、局所麻酔薬を前鋸筋の表層か深層へ注入するのかという問いには応えられていない。このコホート研究で比較した前鋸筋膜面ブロックの表層か深層の鎮痛効果は、2014年2月から2016年12月にウイメンズ・カレッジ病院でおこなわれた外来乳癌手術の患者を対象とした。複合仮説として、深層の前鋸筋膜面ブロックが表層の前鋸筋膜面ブロックとくらべて、院内(退院前)の術後オピオイド消費量や疼痛強度に関して、非劣性であることを検定した。

・166人の患者が2群間(83人/群)で傾向対応された:表層と深層の前鋸筋膜面ブロック。この集団で、術後経口モルヒネ等価消費量と安静時疼痛スコアの曲線下面積に関してブロック効果を評価した。深層の前鋸筋膜面ブロックは表層にくらべて非劣性であると判断するのは、双方の転帰に関して15mgのモルヒネと4cm・h単位のマージンである場合に非劣性、とした。他の評価項目には、術中フェンタニル必要量・最初の鎮痛薬要求までの時間・回復室滞在時間・術後嘔気嘔吐の頻度、が含まれた。

・深部の前鋸筋膜面ブロックは、術後モルヒネ消費量と疼痛スコア曲線下面積に関して表層の前鋸筋膜面ブロックとくらべて非劣性であることと関連した。術中フェンタニル必要量・最初の鎮痛薬要求までの時間・回復室滞在時間・術後嘔気嘔吐はブロック間で差はなかった。

・外来乳癌手術に関して、深層の前鋸筋膜面ブロックに関連した術後院内鎮痛は表層の前鋸筋膜面ブロックと同等の有効性(受容可能なマージン内)である。こうした新しい所見は現在の臨床現場や将来の前向き研究の双方に影響をおよぼすので重要である。

by anaesthetist | 2018-07-07 23:17 | 末梢神経ブロック | Comments(0)