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肺の障害がない患者における呼吸器設定の時間的変化:系統的レビュー

・肺の障害がない患者においてエビデンスが積み重なっていることだが、一回換気量(VT)の減少が集中治療室(ICU)や手術室(OR)での予後を改善する。しかしながら、このエビデンスがどの程度、肺の障害がない患者における呼吸器設定で臨床的に変化がみられるか不明である。呼吸器設定が変化しているかどうかを明確にするために我々は、MEDLINE・Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)・Web of Scienceを検索してICUやORでの侵襲的呼吸器に関する文献を対象とし、18歳未満の患者や急性呼吸促迫症候群(ARDS)の患者が25%を超える試験を除外した。主要評価項目は、時間経過におけるVTの時間的変化、とした。副次評価項目は、最大気道内圧・平均気道内圧・呼気終末陽圧・吸入酸素分圧の変化、ARDSの発症(ICU研究のみ)、術後肺合併症(OR研究のみ)を相関分析と線形回帰分析を用いて検証した。我々が同定したのは、96のICU研究と96のOR研究で1975年から2014年までの130,316人の患者を対象とし、ICUでみられたのは、VTの容量が1年で0.16mL/kgごと減少した(-0.19〜-0.12mL/kg)(P< .001)一方で、呼気終末陽圧は平均0.1mbar/年(0.02〜0.17mbar/年)増加した(P= .017)。ORでみられたのは、VTの容量が1年あたり0.09mL/kgごと減少した(-0.14〜-0.04mL/kg/年)(P< .001)。VTの変化は1995年以降はなくなった。他の術中における呼吸器設定は研究期間中に変化しなかった。ARDSの頻度(ICU研究)や術後肺合併症の頻度(OR研究)も時間経過して変化しなかった。我々の所見によれば、1975年から2014年までの39年間で、臨床研究における人工呼吸器のVTはICUとORで有意に減少した。
by anaesthetist | 2018-09-21 22:40 | 肺換気・片肺換気 | Comments(0)