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肺切除手術後の肺合併症を予測する臨床的変数と生化学的変数を併用した有用性

・術後肺合併症(PPCs)の高リスク患者を早期に検出することで術後戦略を向上させる。我々は、術中と術後早期の全身性と肺の炎症バイオマーカーをモニターすることで肺切除手術(LRS)後のPPCs高リスク患者を検出できないか検証した。これは、LRS中における麻酔薬の炎症効果に関する無作為化比較試験のサブ研究である。患者をPPCsを発症したかしてないかで2群に分類した。3つの多変量ロジスティック回帰モデルをつくり、PPCsを予測するバイオマーカーの検出力を分析した。モデル1のみが通常の臨床変数を含んだ;モデル2は肺と全身性の炎症バイオマーカーを含んだ;モデル3はモデル1と2を併用した。数学的モデル間での比較は、受信者操作特性曲線下面積(AUROC)や統合識別改善度(IDI)のテストに基づいておこなった。統計学的優位性はp<0.05とした。PPCsがみられたのが、入院中の37人の患者(21.3%)であった。モデル1・2・3のAUROCはそれぞれ、0.79(95% CI 0.71〜0.87)・0.80(95% CI 0.72〜0.88)・0.93(95% CI 0.88〜0.97)であった。モデル1と2でのAUROC比較は統計学的な優位差はみられなかった(p=0.79)。しかしながら、モデル3はモデル1より優れていた(p<0.001)。モデル3のIDIは0.29(p<0.001)で、純再分類指数は0.28(p=0.007)であった。炎症バイオマーカーに臨床変数を併用する数学的モデルにより、臨床データのみを含めたモデルよりも良好にLRS後のPPCsを予測する。




by anaesthetist | 2019-01-22 23:52 | 術前・術後管理 | Comments(0)