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主要な腹部手術後の予期しない30日再入院のスガマデクスかネオスチグミンによる拮抗の後向き分析

・スガマデクスは術後合併症が少なくなることと関連しているが、予期しない30日再入院への影響は不明である。

・この単施設後向き観察研究では、主要な腹部手術を2010年から2017年にうけた患者を対象としており、この時期にはロクロニウムが唯一の使用された神経筋遮断薬であった。主要評価項目は、スガマデクスかネオスチグミンによる拮抗での予期しない30日再入院頻度の差異、とした。副次評価項目は、手術後の入院日数と関連する入院費用(手術と麻酔に関連する費用を除いた合計額)、とした。分析には、プロペンシティスコアマッチングと一般化混合効果モデルを用いた。

・1479人の患者(スガマデクス:355人;ネオスチグミン:1124人)の混合効果ロジスティック回帰分析によれば、ネオスチグミン群よりもスガマデクス群において、予期しない30日再入院頻度が34%低く(オッズ比[OR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.46〜0.96、P=0.031)、入院日数が20%短く(指数回帰係数:0.80、95% CI:0.77〜0.83、P<0.001)、関連入院費用が24%安かった(指数回帰係数:0.76、95% CI:0.67〜0.87、P<0.001)。病院から50km以上離れて住んでいる患者では、予期しない30日再入院頻度はネオスチグミン群よりも、スガマデクス群において68%低くなった(OR:0.32、95% CI:0.13〜0.79、P=0.014)一方で、病院から50km未満のところに住んでいる患者では優位でなかった(P=0.319)。

・ネオスチグミンとくらべて、主要な腹部手術後のスガマデクスによるロクロニウム拮抗は予期しない30日再入院のより低い頻度・より短期の入院日数・より安い関連入院費用と関連していた。




by anaesthetist | 2019-02-25 23:14 | 術前・術後管理 | Comments(0)