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術後認知機能障害はファストトラックな股関節と膝関節の全置換術後ではまれである−しかしオピオイド使用と関連する可能性

・術後認知機能障害(POCD)は非ファストトラック手術ではよくみられる術後合併症のままで、日常生活や仕事への復帰に負の影響をおよぼす。ファストトラックな股関節と膝関節の全置換術(THA/TKA)では3ヶ月後POCD頻度が8〜9%と報告されたが、特別な周術期リスクファクターに関しての詳細はなかった。そこで、よく管理された患者集団におけるPOCDの頻度と予想される因子の役割を再検証して、将来的に予防しうる介入の指針を示そうとした。

・研究デザインは、前向き研究のサブ解析である。

・病院の病棟と患者の自宅でおこなった。

・待機的THA/TKAをうけた104人の患者を対象とした。

・介入として、全文による妥当性のある総合認知検査を手術前と手術後2〜3週後に、研究看護師によるインタビューでおこなった。

・総合認知検査による結果を、年齢を合わせた手術をしていない対照群からの正常データを使って、学習効果を調整した。POCDと関連する可能性のある周術期リスクファクター(年齢・手術・性別・炎症・血液データ・オピオイド使用など)を単変量と多変量のロジスティック分析により検証し、5%を優位レベルとした。

・4人の患者(3.9%)がPOCDを発症した。POCDとなった患者は術後急性期に高用量のオピオイドを使用しており(術後0〜3日:中央値214mg)、それとくらべてPOCDなしの患者は少なく(術後0〜3日:中央値98mg、p=0.008)、術後2〜3週の研究期間でも続いた(POCDあり vs. POCDなし、中央値 739mg vs. 208mg)。他の術前と術後の因子はPOCD発症に優位ではなかったが、関連した。

・POCDはファストトラックなTHA/TKA患者ではまれで、術後オピオイド消費量と関連する可能性があり、オピオイド節約した鎮痛に続けて注目する必要がある。

by anaesthetist | 2019-04-04 11:11 | せん妄 | Comments(0)