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重症患者における入院前スタチン内服と90日死亡:後向き関連研究

・この研究の目的として、重症患者において入院前スタチン内服と90日死亡との関連性を検証し、この関連性がスタチンの種類や投与量で変わるかどうかを調査した。我々の仮説として、入院前スタチン内服は低い90日死亡と関連する、とした。

・この後向きコホート研究で解析した診療録は、単一の三次大学病院の集中治療室に2012年1月から2017年12月までに入室した患者全員を対象とした。入院前スタチン内服・スタチンのサブタイプ・毎日の投与量を含めたデータを集め、こうした変数と集中治療室入室後90日死亡との関連性を検証した。主要評価項目は、90日死亡、とした。

・合計で24,928人の患者(7,396人のスタチン内服者と17,532人の非スタチン内服者)が含まれた。プロペンシティスコアを対応させたあとに、5,354人のスタチン内服者と7,758人の非スタチン内服者が最終的に対象となった。90日死亡は非スタチン内服者で有意に高く(7,758人中918人;11.8%)、スタチン内服者では低かった(5,354人中455人;8.5%;P<0.001)。コックス回帰分析では、90日死亡率は非スタチン内服者よりもスタチン内服者で低かった(ハザード比:0.70、95% CI:0.63〜0.79;P<0.001)。ロスバスタチン内服者は42%低い90日死亡と関連した(ハザード比:0.58、95% CI:0.47〜0.72;P<0.001)。毎日のスタチン投与量と90日死亡との関連性において特別な優位差はなかった。競合リスク解析では、スタチン内服者の非心血管90日死亡リスクは、非スタチン内服者のものよりも32%低かった(ハザード比:0.68;95% CI:0.60〜0.78;P<0.001)。一方で、心血管90日死亡はスタチンの内服と有意に関連しなかった。

・入院前スタチン内服は、低い90日死亡と関連した。この関連性は、ロスバスタチン群と、非心血管90日死亡でより顕著であった;毎日の投与量に依存した差はみられなかった。

by anaesthetist | 2019-07-02 22:11 | 集中治療 | Comments(0)