人気ブログランキング | 話題のタグを見る

年齢パラドックス:高齢患者は揮発性麻酔薬を年齢調整した最小肺胞濃度より高い分圧で投与されるがバイスペクトラルインデックスはより高く表示される

・最小肺胞濃度(MAC)とMAC-awakeは年齢とともに低下する。我々の仮説として、臨床現場では、(i)高齢患者における呼気終末MAC分圧は予測年齢依存MAC減少よりも小さく低下する(つまり、高齢患者は比較して過剰な麻酔薬濃度を投与される)、(ii)バイスペクトラルインデックス(BIS)値はそれゆえに高齢患者においてより低くなる、とした。

・我々は、呼気終末MAC分圧・BIS値・年齢の関係を30歳以上の4699人の患者で単施設において検証し、未調整局所回帰(局所予測散布図平滑化)・スピアマン相関関係・層別化・ロバスト単変量/多変量線形回帰の解析をおこなった。

・高齢患者における呼気終末MAC分圧は、10歳ごとに3.01%低下し(95%信頼区間[CI]:2.56〜3.45;P<0.001)、すでに公表されている年齢依存MAC変化のメタ回帰分析でみられる、10歳ごとに6.47%のMAC低下よりも小さく(P<0.001)、MAC-awakeの年齢依存低下よりも小さかった。BIS値は年齢と正の相関関係を示し(ρ=0.15;95% CI:0.12〜0.17;P<0.001)、年齢調整呼気終末MAC(aaMAC)分圧と負の相関関係を示した(ρ=-0.13;95% CI:-0.16〜 -0.11;P<0.001)。

・当施設の臨床現場における年齢依存呼気終末MAC分圧低下は、公表されている研究結果の年齢依存MAC/MAC-awake低下割合よりも小さかった。より高いaaMAC分圧を投与されているにもかかわらず、高齢患者はパラドックス的により高いBIS値を示した。これはおそらく、BISアルゴリズムが高齢成人では不正確なためにおこっていると推測される。

by anaesthetist | 2019-07-12 23:34 | 脳波モニター | Comments(0)