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婦人科手術後におけるオピオイドの使用と乱用

・目的として、婦人科手術でのオピオイド使用率を検証し、初めてオピオイドを処方された女性における慢性的なオピオイド使用を調査した。

・後向きコホート研究を、MarketScanデータベースを使っておこなった。MarketScanは訴訟を基にしたデータベースで、50万人以上のプライベート保険加入患者と12州におよぶ6百万人のメディケイド加入者からの訴訟を集めた。対象とした女性は、2009年から2016年に婦人科の小手術と大手術をうけた。オピオイド処方をうけた女性のうち、新規の慢性オピオイド使用の定義を、手術後90日から180日に追加の手術や麻酔がなくて1つ以上のオピオイド処方箋をうけた、とした。多変量モデルを用いて、臨床的背景とオピオイドの通常使用や新規の慢性使用との関連性を検証した。

・合計で729,625人の患者が同定された。全体で、患者の60.0%が周術期にオピオイド処方をうけた。オピオイド処方をうけたのは、子宮頸管拡張掻爬術をうけた患者の36.7%から、最小侵襲子宮切除術をうけた患者の79.5%まで幅広かった。周術期にオピオイド処方をうけた患者のうち、新規の慢性オピオイド使用の割合は全体で6.8%であった。新規の慢性オピオイド使用の割合は、子宮筋腫核出術で4.8%、最小侵襲子宮切除術で6.6%、腹式子宮切除術で6.7%、子宮内膜焼却術で6.3%、卵管結紮術で7.0%、子宮頸管拡張掻爬術で7.2%であった(P<.001)。多変量モデルで、子宮頸管拡張掻爬術と子宮内膜焼却術をうけた患者は、新規の慢性オピオイド使用リスクが最高であった。より若い患者・メディケイド加入者・うつ/不安/薬物使用の患者は、新規の慢性オピオイド使用によりなりやすかった(全て、P<.001)。オピオイド処方をうけている女性のうち、新規の慢性オピオイド使用の割合は時間とともに、2010年の7.0%から2016年の5.5%へと減少した(P<.001)。

・婦人科の小手術と大手術後における新規の慢性オピオイド使用の割合は、相当である。

by anaesthetist | 2019-07-18 22:24 | 薬剤・麻薬 | Comments(0)