人気ブログランキング | 話題のタグを見る

膵十二指腸切除術後の遷延する重症術後低血圧は炎症反応増加と関連する

・大きな手術中の低血圧はよくあることで、麻酔後回復室での観察や血管収縮薬や輸液を含めた治療の必要性が増加する。しかしながら、大きな手術直後の術後回復期での重症低血圧は合併症罹患や死亡の増加と関連するものの、根本的なリスクファクターは確率されておらず、予防と治療の進展の妨げとなっている。

・我々は後向き研究をおこなって、重症遷延低血圧(SPH)(SPH:術後翌朝の平均動脈圧(MAP)>65.0mmHgを維持するのにノルアドレナリンが必要)や他の早期(24時間)での合併症発症と関連する因子(年齢・性別・体格指数・心併存疾患・ヘモグロビン値・術後初日でのc反応性蛋白の絶対数増加・出血・手術終了時と術後初日での輸液バランス)を評価した。膵十二指腸切除術(PD)をうけ術前に高用量グルココルチコイド投与と目標指向型輸液療法をうけた100人の患者を対象とし、麻酔記録と診療録から周術期データを集めた。

・45人の患者がSPHとなり、術後翌朝のCRP値は有意な増加をきたし(中央値 50mg/L vs. 41mg/L、それぞれSPH vs 非SPH、p=0.028)、SPHのない患者とくらべて退院時での輸液バランスが有意にプラスであった(中央値それぞれ 1457ml vs. 1031ml、p=0.027)。

・PD後のSPHは、有意な炎症反応増加と輸液必要性増加と関連した。将来の研究で、PDでさらなる炎症コントロールをして血行動態と合併症罹患を向上させる効果を検証していくべきであろう。

by anaesthetist | 2019-12-24 22:57 | 合併症 | Comments(0)