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乳癌手術のPROSPECTガイドライン:系統的レビューと手術特異的術後疼痛管理推奨

・乳房手術後の疼痛治療に使用される疼痛プロトコルはかなりばらつきがある。この系統的レビューの目的として、この話題に関して利用できる文献を評価し、乳癌手術後の最適な疼痛管理の推奨をつくりあげようとした。系統的レビューとメタ分析の優先報告項目ガイダンスを手術特異的術後疼痛管理(PROSPECT)方法論で使用して、系統的レビューをおこなった。術後疼痛を鎮痛薬・麻酔薬・手術の介入で評価した無作為化比較試験を同定した。749の研究がみつかり、そのうち53の無作為化比較試験と9つのメタ分析が算入基準を満たして、このレビューの対象となった。量的分析によれば、デキサメタゾンとガバペンチンが術後疼痛を減少させた。傍脊椎ブロックの使用もまた、術後疼痛スコア・鎮痛薬消費量・術後嘔気嘔吐の発生頻度を減少させた。術中のオピオイド必要量は、胸筋神経ブロックがおこなわれると少なくなり、これもまた術後疼痛スコアとオピオイド消費量を減少させた。我々が推奨するのは、基本的な鎮痛薬(つまり、パラセタモノールと非ステロイド性抗炎症剤)を術前か術中に投与して、術後も続けることである。加えて、術前のガバペンチンとデキサメタゾンも推奨されている。大きな乳房手術では、傍脊椎ブロック・胸筋神経ブロック・局所麻酔術野浸潤といった区域麻酔法が追加の疼痛緩和として考慮するといいだろう。傍脊椎ブロックはカテーテル法を使って術後も継続するといいだろう。オピオイドは、術後ではレスキュー鎮痛薬として控えておくべきだろう。さらに研究をして、脊柱起立筋膜面や椎弓板ブロックといった新規の区域麻酔法の、基礎的な鎮痛薬と併用することによる、術後回復における役割を評価する必要がある。




by anaesthetist | 2020-01-29 23:55 | 疼痛管理 | Comments(0)