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小児の腹腔鏡下ヘルニア修復術に対するラリンジアルマスクエアウェイと気管挿管の比較:呼吸器系合併症の分析

・この研究の目的として、鼠径ヘルニアに対して経皮的内鼠径輪縫合(PIRS)をおこなう小児で、周術期と術後の呼吸器系合併症の比較をラリンジアルマスク(LM)エアウェイと気管挿管(TI)でおこなった。

・2015年10月から2019年2月の間で、135人の小児患者(97人の男児と38人の女児)は年齢の中央値が4歳で、鼠径ヘルニアに対してPIRSをうけて、この研究の対象となった。患者は2群に分けられた。I群(n=94)ではLMエアウェイが使用され、II群(n=41)ではTIがおこなわれた。患者背景データ・手術時間と麻酔時間・米国麻酔科学会(ASA)術前状態分類・筋弛緩・気腹状態・麻酔の合併症が両群で比較された。

・群間で差がみられなかったのが、年齢(P= .435)・性別(P= .306)・体格指数(P= .548)・ASA術前状態分類(P= .506)・気腹状態(P= .968)・手術時間(P= .968)、であった。麻酔時間は、LMが使用されるとTIとくらべて、有意に短縮した(25分 vs 36分;P< .00001)。麻酔からの回復中、酸素飽和度低下(n=1 vs n=5;P= .003)・喉頭痙攣(n=2 vs n=5;P= .015)・咳嗽(n=0 vs n=4;P= .002)の頻度は、LMエアウェイが気道確保に使用されると有意に低かった。咽頭痛(P= .543)・気管支痙攣(P= .128)・誤嚥(P= .128)の術後頻度は、LMとTIで差異はなかった。

・小児麻酔でLMを使用することで、一般的な合併症の多くが減少し、有意に患者麻酔時間が短縮した。それゆえに、LMは小児の腹腔鏡下ヘルニア修復術に対する小児気道管理で有望な器具である。




by anaesthetist | 2020-05-05 19:54 | 声門上器具 | Comments(0)