人気ブログランキング | 話題のタグを見る

脳死臓器ドナーの重症治療管理中における血管作動薬の選択と腎グラフト機能への影響

・臓器移植後臓器機能障害(DGF)は腎移植後の最初の週における透析の必要性で、死亡したドナー腎移植レシピエントのおよそ4分の1に影響をおよぼす。ドナー患者背景・ドナー血清クレアチニン・グラフト冷温虚血時間がDGFに関連する。しかしながら、脳死後ドナー(DBDs)の臓器における血行動態不安定性の最適な管理に関してコンセンサスはない。我々の目的として、ドナー管理中における血管作動薬の選択とDGFの発症との関連性を検証しようとした。

・患者背景や重症治療変数を含めた前向き観察データの収集を、2012年から2018年に9つの臓器調達および移植ネットワーク区域からの17の雑木調達組織によって管理されたDBDsの全員でおこなった。レシピエント転帰データとドナーデータとのリンクは、ドナー同定番号でおこなった。血管作動薬の種類や投与量を含めたドナー重症治療変数の記録をドナー管理中の3つの標準化されたタイミングでおこなった。解析対象としたのは、3つのタイミング全てで少なくとも1つの血管作動薬を投与したドナーに限った。血管作動薬の投与量はノルエピネフリン等価量に変換し、連続変数として解析した。単変量解析をおこなって、ドナー変数とDGFとの関連性を検証した。結果の補正を知られているDGFの予測因子で二項ロジスティクス回帰分析を使用しておこなった。

・完全なデータをえられたのは、5,554人の腎移植レシピエントと2,985人のDBDsであった。単変量解析によれば、ドナー血清クレアチニン・ドナー年齢・ドナーサブタイプ・腎ドナープロファイルインデックス・グラフト冷温虚血時間・フェニレフリン投与量・ドパミン投与量がDGFと関連した。多変量解析によれば、ドナー血清クレアチニン上昇・ドナー年齢・腎ドナープロファイルインデックス・グラフト冷温虚血時間・フェニレフリン投与量がなお、DGFの独立した予測因子であった。

・フェニレフリンの高投与量がDGFの独立した予測因子であった。フェニレフリンを除外すれば、ドナー管理中における血管作動薬の選択と投与量はDGFの発症を予測しなかった。




by anaesthetist | 2020-05-29 19:22 | 血行動態 | Comments(0)