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高血圧や降圧治療とCOVID-19死亡との関連性:後向き観察研究

・目的として、高血圧の治療がコロナウィルス感染症2019(COVID-19)と診断された患者の死亡に影響をおよぼすかどうか、は不明のままである。

・この後向き観察研究では、患者は全員がCOVID-19で火新山医院へ入院した。この病院は中国武漢市でCOVID-19治療に単独であたっていた。高血圧とその治療の分類は、既往歴や感染前に投与されていたや内服薬に基づいておこなわれた。2877人の入院患者のうち、29.5%(850/2877)が高血圧の既往をもっていた。交絡因子で調整後、高血圧患者は死亡の相対リスクが、高血圧のない患者とくらべて、2倍増加した[4.0% vs 1.1%、調整ハザード比(HR) 2.12、95%信頼区間(CI) 1.17〜3.82、P=0.013]。高血圧の既往はあるが降圧治療をしていない患者(n=140)は高い死亡リスクと関連し、降圧治療をしている患者(n=730)とくらべて有意であった(7.9% vs. 3.2%、調整HR 2.17、95% CI 1.03〜4.57、P=0.041)。死亡率は、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬(4/183)と非RAAS阻害薬(19/527)の集団間で同等であった(2.2% vs. 3.6%、調整HR 0.85、95% CI 0.28〜2.58、P=0.774)。しかしながら、4つの研究によるメタ分析の研究段階の結果によれば、RAAS阻害薬を使用している患者は死亡リスクが低い傾向にあった(相対リスク 0.65、95% CI 0.45〜0.94、P=0.20)。

・高血圧と降圧治療の中止は死亡率リスク増加と関連しているようであるが、この後向き観察研究では、COVID-19に感染した患者でRAAS阻害薬による有害事象はみられなかった。しかしながら、この結果は実験段階と考えて、注意して解釈すべきである。


by anaesthetist | 2020-06-07 18:50 | COVID-19 | Comments(0)