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COVID-19患者の急性低酸素性呼吸不全に対する高流量鼻カニュラ:有効性とエアロゾル化・拡散・感染伝播のリスクに関する系統的レビュー

・我々は世界保健機構の2つの委員会による依頼でレビューをおこない、コロナウィルス感染症(COVID-19)患者における高流量鼻カニュラ(HFNC)の使用を報告しようとした。我々は、HFNCに関しての飛沫拡散やエアロゾル生成のリスクのみならず、その有効性と安全性のエビデンス(レビュー1)と、ウィルス産物の関連伝播でのエビデンス(レビュー2)を統合した。

・文献検索をおこなったのは、Ovid MEDLINE・Embase・Web of Science・Chineseデータベース・medRxiv.であった。レビュー1:無作為化比較試験(RCTs)からの結果を統合したが、そこでは急性低酸素性呼吸不全の重症患者でHFNCを従来からの酸素療法(COT)と比較した。レビュー2:HFNCと関連した、飛沫拡散・エアロゾル生成・感染伝播を評価した研究の所見を口述的に要約した。どちらのレビューでも、ペアーとなったレビューワーが独立して、スクリーニング・データ抽出・バイアスリスク評価をおこなった。エビデンスの質の評価はGRADE法を使用した。

・COVID-19患者を含んだ研究で適格となったものはなかった。レビュー1:12のRCTs(n=1,989人の患者)でエビデンスの質は低かったが、呼吸不全となった患者において、HFNCにより侵襲的換気(相対リスク[RR]、0.85;95%信頼区間[CI]、0.74〜0.99)や酸素療法の進展(RR、0.71;95% CI、0.51〜0.98)を減少させる可能性があった。結果からは、死亡率(中等度の質)・入院日数と集中治療滞在日数(それぞれ、中等度と低度の質)の差があるとは認められなかった。レビュー2:飛沫拡散を評価した4つの研究と、エアロゾル生成と拡散を評価した3つの研究のエビデンスの質は非常に低かった。2つのシミュレーション研究とひとつの横断研究において、飛沫拡散に関するHFNCの影響についての所見は玉石混交であった。2つのシミュレーション研究においてエアロゾル拡散に関連して増加することはなかったが、ひとつの研究によれば、高流量がエアロゾル密度の区域増加と関連していた。

・高流量鼻カニュラは、急性低酸素性呼吸不全のCOVID-19患者において、COTとくらべて、侵襲的換気や酸素療法進展の必要性を減少させる可能性がある。この有利な点と空気感染のよくわかっていないリスクをバランスにかけなければならない。

by anaesthetist | 2020-07-03 23:13 | COVID-19 | Comments(0)