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COVID-19患者における消化器症状の機序と治療

・典型的な呼吸器系の反応に加えて、新型コロナウィルス肺炎(COVID-19)はまた非常によくある消化器症状とも関連している。消化器症状のある症例では肝障害や急性呼吸促迫症候群(ARDS)がより重症化しやすく、下痢によって電解質バランスも障害することとなって嘔気嘔吐・頭痛・倦怠感等を引きおこす。治療が間に合わないと、昏睡や循環虚脱がつづくことになるかもしれない。SARS-CoV-2はヒトの身体に感染するのは消化管のACE2と結合することを通してであり、消化器症状を引きおこす機序としては消化管粘膜バリアを損傷して炎症因子の生産が促されることでサイトカインストームを惹起している可能性がある。実際、肺細胞がSARS-CoV-2に感染したあと、エフェクターCD4+T細胞が腸肺相関を通して小腸へ達し、腸管免疫損傷をおこして下痢を引きおこす;早期に抗菌薬と抗ウィルス薬を広域に使用しても患者は下痢となりうる。従って、COVID-19患者の治療選択肢は消化器症状があれば迅速に調整されるべきである。さらに、薬剤誘発性下痢がおこると薬剤は中止か減量され、微少生態制御因子が消化管の微少生態バランスを維持しようとして二次的な細菌感染を防ごうとする。有効な治療を保障するためには、患者の経腸栄養と消化管機能に注意を払うべきである。SARS-CoV-2はCOVID-19患者の糞便で検出されるため、これからの予防やコントロールしようとする対策はこのウィルスの糞便経口感染の可能性を考慮しなくてはならない。




by anaesthetist | 2020-07-09 21:42 | COVID-19 | Comments(0)