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全ては心臓で?入院したCOVID-19患者の主要な死亡予測因子としての心筋障害

・COVID-19は新型感染症で、この100年のなかでも最もひろくパンデミックを引きおこしている。この感染症が比較的に新型であるために、入院患者の死亡や有害転帰のリスクファクターは明確にされないままである。目的として、COVID-19で入院した患者における死亡・ICU治療の必要性・人工呼吸器管理の独立した予測リスクファクターを明確にしようとした。研究デザインは、後向きコホート研究、とした。場所は、大規模な三次医療施設の大学病院でおこなった。対象は、成人でCOVID-19と確定診断されて2020年3月1日から4月15日までに入院した患者、とした。方法として、ベースラインの臨床背景と入院時検査データを後向きに収集した。患者を、死亡・ICU治療の必要性・人工呼吸器管理に基づいて、分類した。臨床的な併存疾患の有病率や検査データ異常を記述統計を使って群間で比較した。単変量解析をおこなって、死亡・ICU治療・人工呼吸器管理の予測因子を同定した。p≦0.10で有意となった予測因子を多変量解析の対象とした。

・560人の患者がこの分析の対象となった。年齢と心筋障害のみが死亡の独立した予測因子で、これはベースラインでの併存疾患の有無に関係なかった。BMI・フェリチン高値・d-ダイマー高値・プロカルシトニン高値がICU治療の必要性を予測し、これらとベースラインでの血管疾患が人工呼吸器管理を予測した。

・データ全てを各患者で利用できるわけではなかった。入院時症状・バイタルサイン・画像に関するデータは収集できなかった。

・年齢と心筋障害が、COVID-19で入院した患者の死亡を最も強く予測できる独立した因子であった。炎症マーカーは、ICU治療の必要性や人工呼吸器管理を予測するのに価値があるようだが、死亡に対してはそうではなかった。




by anaesthetist | 2020-07-27 19:16 | COVID-19 | Comments(0)