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COVID-19の入院患者における静脈血栓塞栓症の管理

・血栓塞栓症、特に静脈血栓塞栓症(VTE)が高い頻度でおこるため、コロナウィルス感染症2019(COVID-19)で入院して重症な患者では気をつける必要がある。COVID-19の凝固障害は炎症系・免疫系と凝固系との相互作用からくるものとされており、過剰炎症・凝固異常・血小板活性化と関連するサイトカインストームを特徴とする。COVID-19で入院して重症な患者におけるVTEの固有な特徴として、既存の対照者とくらべて場合にVTE(特に、肺塞栓)が高い頻度でみられる、ということである;微少塞栓と関連した肺塞栓そのものの所見で、古典的な大血管での疾患に加えて血栓性微小血管における過程が示唆される;臨床的な側面から最も重要なのが、VTEが尋常でない高い頻度で標準的な血栓予防にもかかわらず報告されていることである。このことから、中等度から体重を基にしたヘパリン投与量がCOVID-19で入院した患者の高リスク群では血栓予防の固定投与量よりも有効である可能性が高い。COVID-19で入院して重症な患者におけるVTE管理に関する指針声明がいくつか公表されており、国際血栓止血学会の科学的標準化委員会による最新の声明には、こうした患者集団におけるVTEの診断・予防・治療に関する包括的な指針が含まれている。現在進行している無作為化試験では、重要な臨床的な疑問、特にもっと強力な血栓予防戦略や新しい抗血栓法を目指しておこなわれており、これによりCOVID-19で入院して重症な患者におけるVTEの罹患や死亡を減少させる可能性がある。




by anaesthetist | 2020-08-28 19:30 | COVID-19 | Comments(0)