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長期人工呼吸器での気管内チューブの安全性

・気管内チューブ(ETT)は侵襲的人工呼吸器(MV)で最もよくとられる方法であるが、その長期的な安全性には異論がともなう。

・目的として、集中治療室(ICU)におけるMVサポートに対して、ETTの安全性を気管切開チューブ(TT)と比較しようとした。

・後向き解析として、5年の全国データセットで気管切開チューブ(TT;n=4772)の有無(ETT;n=124,204)によりMV治療で入院した128,977人の成人(年齢>15歳)を対象とし、神経学的診断や外科的気道の必要性がありそうな患者は除外し(n=27,466)、これらは93のオーストラリア全土の公的医療サービスのICUで2013年7月から2018年6月までであった。

・測定項目として、入院中の生存(MVからの離脱を含む)をETT群とTT群でプロビット回帰モデルを使用しておこない、固定した内因性で非ランダム治療割りつけ共変量とその相互作用による交絡因子で調整した;MV期間によりわずかな効果で解析しプロットした。

・MV期間の中央値は2(IQR=1〜4)日で、主にETTがメイン(124,205;96.3%)で、21,620(16.7%)が死亡した。一時的なETTへの傾向がTTに比較して増加し(OR=1.06/年、95%CI=1.03〜1.10)、これは(3週をこえる)長期のMVでさえ、そうであった(38.1%)。より高リスクで調整した死亡率は、TTと比較して、MV期間長期化と関連し、ETT持続によるMV9日間後でもそうであり、治療効果の平均(死亡率)は12.6%であった(95%CI=10.7〜14.5)。後者は、MV30日後では有意でなかった。

・TTと比較したETTの安全性は短期的なMV(9日間以内)を超えるとはっきりせず、追加データによる前向きな評価が必要である。




by anaesthetist | 2020-11-14 19:56 | 人工呼吸 | Comments(0)