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神経筋ブロック薬投与量の補助薬による減量:系統的レビューとメタ分析

・神経筋ブロック薬(NMBA)の急激な世界中の不足により、周術期医療や集中治療医療に悪影響がおよぶおそれがある。薬物的補助薬の使用により、NMBA投与量を減量させる可能性がある。しかしながら、推定される効果の程度は不明なままである。

・我々は系統的レビューとRCTsのメタ分析をおこなった。検索したのは、Medline・Embase・Web of Science・Cochrane Database(1970〜2020)で、NMBAsに対する薬物的補助薬の使用を比較したRCTsを対象とした。周術期のNMBAs投与量を記載していないRCTsは除外した。主要評価項目は、臨床的に容認可能な神経筋ブロックの深さをえるために使用された全NMBA投与量、とした。エビデンスレベルの評価は、GRADE基準を使用した。データの提示は、標準化された平均差(SMD)とした;I²は異質性に寄与する分散の割合を表した。

・3082の記録のうち、159の試験の全文が検索された。31の周術期のRCTsがメタ分析の算入基準を満たした(n=1962)。重症患者でおこなわれた研究はなかった。NMBA投与量の減量と関連があったのが、マグネシウム(SMD:-1.10[-1.44〜 -0.76]、P<0.001;I²=85%;GRADE=moderate)・デクスメデトミジン(SMD:-0.89[-1.55〜 -0.22]、P=0.009;I²=87%;GRADE=low)・クロニジン(SMD:-0.67[-1.13〜 -0.22]、P=0.004;I²=0%;GRADE=low)の使用で、リドカイン(SMD:-0.46[-1.01〜 -0.09]、P=0.10;I²=68%;GRADE=moderate)は関連しなかった。ニカルジピン・ジルチアゼム・デキサメタゾンのメタ分析は研究数が少ない為に不可能であった。我々の推定では、術前のマグネシウム30〜50mg/kg(術中に8〜15mg/kg/h)により、ロクロニウム投与量を25.5%(四分位範囲、14.7〜31)減量できた。

・マグネシウム・デクスメデトミジン・クロニジンは周術期において、神経筋ブロックの必要投与量を臨床的に関連あるほどに温存できる効果をもつ可能性がある。




by anaesthetist | 2020-11-25 19:39 | 筋弛緩薬 | Comments(0)