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集中治療室の成人患者における鎮静中のせん妄におよぼすデクスメデトミジンの効果:系統的レビューとメタ分析

・研究の目的として、集中治療室(ICUs)の成人患者におけるせん妄のリスクと期間におよぼす、デクスメデトミジンの有無による鎮静プロトコルの効果を比較しようとした。

・研究デザインは、無作為化比較試験のメタ分析、である。

・我々が検索したのは、Cochrane Central Register of Controlled Trials・PubMed・EMBASE・ISI Web of Scienceを創刊から2020年9月3日まででおこなった。対象とした研究では、ICUsの成人患者においてデクスメデトミジンを主体とした鎮静がせん妄リスクにおよぼす効果をデクスメデトミジンを主体としない鎮静と比較したものとした。データの統合は、Review Manager 5.2でランダム効果モデルを使い、Stata 11.0で出版バイアスを評価した。エビデンスレベルは、GRADEシステムを使っておこなった。

・36の研究で9623人の患者が対象となった。デクスメデトミジンの使用はせん妄リスクの減少と関連した(リスク比[RR]、0.63;95%信頼区間[CI]、0.54〜0.75;非常低いエビデンスレベル)が、入院中における低血圧や徐脈のより高い頻度と関連した。デクスメデトミジンはまた、ICU在室期間・入院日数・人工呼吸器期間のより短縮化とも関連した。デクスメデトミジンが影響をおよぼさなかったのが、ICU死亡率(RR、1.01;95% CI、0.89〜1.14;低いエビデンスレベル)・入院中死亡率(RR、1.01;95% CI、0.91〜1.12;非常に低いエビデンスレベル)・30日死亡率(RR、0.77;95% CI、0.58〜1.01;中等度のエビデンスレベル)・せん妄期間(平均差、-0.74日;95% CI -1.83〜0.36;非常に低いエビデンスレベル)、であった。リスクとせん妄期間・ICU滞在期間・入院日数の出版バイアスを同定した。

・低いか非常に低いエビデンスレベルによれば、デクスメデトミジンはICU患者において、せん妄リスク・ICU/入院滞在期間・人工呼吸器期間の臨床的にはわずかな減少と関連したが、死亡率向上やせん妄期間短縮化とは関連しなかった。こうした所見は出版バイアス・異質性・限られたサンプルサイズのために確定的ではない。デクスメデトミジンの有意な有害事象には低血圧や徐脈がある。

by anaesthetist | 2020-12-16 19:51 | せん妄・認知機能 | Comments(0)