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待機的帝王切開をうける女性の脊髄くも膜下麻酔での高比重プリロカインと高比重ブピバカインの比較:比較無作為化二重盲検研究

・高比重ブピバカインによる脊髄くも膜下麻酔は待機的帝王切開の標準法のままであるが、これでえられる臨床効果は予測しがたいことがある。高比重プリロカインは運動ブロックがより短いが、これまで産科の脊髄くも膜下麻酔の領域で研究されてこなかった。我々の目的として、待機的帝王切開におけるプリロカインかブピバカインによる脊髄くも膜下麻酔後の運動ブロック時間を比較しようとした。この前向き無作為化二重盲検研究にて、待機的帝王切開をうける合併症のない女性が算入適格者となった。除外基準は以下とした:18歳未満の患者;身長<155cmか175cm;母乳育児希望;脊髄くも膜下麻酔の禁忌事項。患者を無作為に2群へ割りつけた:プリロカイン群は髄腔内プリロカイン60mgによる脊髄くも膜下麻酔をうけた;ブピバカイン群は髄腔内高比重ブピバカイン12.5mgを投与された。スフェンタニル2.5µgとモルヒネ100µgを両群とも局所麻酔薬に添加した。主要評価項目は運動ブロック時間として、麻酔後回復室に到着後15分おきに評価した。母体血行動態・アプガースコア・疼痛スコア・患者満足度・副作用を記録した。50人の患者が対象となり、25人が各群に無作為化してわりつけられた。運動ブロック時間の中央値(IQR[範囲])はプリロカイン群で有意に短かった、158(125〜188[95〜249]) vs. 220(189〜250[89〜302])分、p<0.001。麻酔後回復室滞在時間の中央値はプリロカイン群で有意に短かった、135(120〜180[120〜230]) vs. 180(150〜195[120〜240])分、p=0.009。群間で差がなかったのは以下の通りであった:母体術中低血圧;アプガースコア;臍帯血pH;母体術後疼痛;患者あるいは産科医の満足度。我々の結論として、待機的帝王切開をうける合併症のない妊娠女性において、高比重プリロカインは高比重ブピバカインよりも運動ブロックが、より短くより確実なものであった。
by anaesthetist | 2021-01-14 19:48 | 帝王切開 | Comments(0)