人気ブログランキング | 話題のタグを見る

周術期フレイル-死亡関連性の仲介としての合併症

・術前フレイルは術後合併症や死亡と強く関連する。しかしながら、フレイル・術後合併症・死亡のつながりはうまく表現されていない。著者らの仮説として、待機的非心臓手術において、術後合併症の発症が死亡におよぼすフレイルによる総合的影響の相当な割合を橋渡しする、とした。

・プロトコルを登録後、著者らは全国手術の質向上プログラムデータを使って中等度から高度リスクの待機的非心臓手術患者(2016人)による後向きコホート研究をおこなった。ベイズの媒介分析を、術前フレイル(曝露、リスク分析指標を使って)・重大合併症(媒介)・30日死亡(転帰)の関連性に対しておこない、総合的に交絡因子で調整した。死亡におよぼすフレイルによる総合的影響(合併症によって媒介される間接的な影響とフレイルによる残りの直接的な影響から構成されるもの)を推定し、合併症によって媒介されるフレイル-死亡関連性の割合を推測した。

・著者らが同定したのは205,051人の患者であった;1,474人(0.7%)が死亡した。合併症が起きたのは20,211人(9.9%)であった。フレイルスコアが2SD増加すると死亡との総合的関連性がオッズ比3.79(95%信頼区間、2.48〜5.64)と同等となり、これは直接的な関連性(オッズ比、1.76;95%信頼区間、1.34〜2.30)と合併症によって媒介される間接的な関連性(オッズ比、2.15;95%信頼区間、1.58〜2.96)からなるものだった。合併症が媒介したのは、フレイル-死亡関連性の57.3%(95%信頼区間、40.8〜73.8)であった。心肺系合併症は合併症サブタイプのなかで、最も強い媒介因子であった。

・合併症は、待機的非心臓手術において、フレイルと術後死亡の関連性のうち半数以上を媒介する。

by anaesthetist | 2021-02-21 18:59 | 合併症 | Comments(0)