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脳内出血患者における生理学的ストレスの一般的なマーカーとせん妄との関連性

・目的として、直接的な脳損傷において生理学的ストレスとせん妄との関連性を検証しようとした。

・我々は1年にわたり、非外傷性脳内出血(ICH)でずっと昏睡状態でなかった患者において、初期の好中球-リンパ球比(NLR)・血糖・トロポニンのデータをえて、多変量回帰モデルを使って各バイオマーカーと付随するせん妄の関連性を検証した。せん妄の診断はDSM-5に基づいた方法を使っておこない、さらなる探索的解析のためにせん妄を24時間以内に初発(『早期発症』)か24時間以降に顕在化(『後期発症』)へ分類した。

・284人の患者のうち、せん妄は55%におきた(早期発症:39%[n=111];後期発症:16%[n=46])。せん妄の患者は、NLR(平均 9.0±10.4 vs. 6.4±5.5;p=0.01)・血糖(平均 146.5±59.6 vs. 129.9±41.4 mg/dL;p=0.008)がより高く、トロポニン高値(>0.05ng/mL;21% vs. 10%、p=0.02)の頻度がより高かった。調整モデルにて、NLR(最高四分位範囲:OR 3.4[95% CI 1.5〜7.8])・血糖(>180mg/dL:OR 3.1[95% CI 1.1〜8.2])・トロポニン(OR 3.0[95% CI 1.2〜7.2])の高値が各々せん妄と関連したが、初期NLRだけは特に後期発症せん妄と非人工呼吸器患者でのせん妄と関連した。

・多臓器系に対応するストレス関連バイオマーカーは、ICH関連せん妄と関連した。早期NLR高値はまた後期発症せん妄を予測する可能性があり、これは全身性炎症がせん妄メカニズムに寄与していることを示唆しているかもしれない。

by anaesthetist | 2021-04-09 19:31 | 集中治療 | Comments(0)