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年齢がEEGに基づく麻酔指標におよぼす影響

・今後ますます、高齢患者で全身麻酔が必要な人数が増えていくだろう。年齢が術後せん妄(POD)の独立したリスクファクターなので、POD頻度はそれに一致して増加する。PODリスクを減少させる方法のひとつとして、極端に高用量の麻酔薬を避けるのに神経モニタリングを使用して麻酔を調整する指標とすることである。そこで我々は、患者の年齢が様々な脳波(EEG)に基づく麻酔指標におよぼす影響を評価しようとした。

・これまでの発表されたデータ解析をおこない、単一電極の全身麻酔維持における180人の患者(18〜90歳;ASA I〜IV)のEEG波形を5つの異なった商品化されているモニタリングシステムに再利用して、これらの指標を評価した。使用したのは、State/Response Entropy・Narcotrend・qCON/qNOX・bispectral index(BIS)・Treaton MGA-06、であった。非商業化比較として、スペクトラル端周波数(SEF)をBISから抽出した。年齢の影響を評価するために、線形回帰モデルを作成した。また、様々な指標間での相関性も評価した。

・麻酔維持中、SEF・State/Response Entropy・qCOX/qNOX・BISの値はすべて、患者の年齢とともに有意に増加した(1年あたり0.05Hz/0.19〜0.26指標ポイント)(p<0.0001);その一方で、Narcotrendは年齢で有意に変化しなかった(1年あたり0.06指標ポイント;p=0.28)。Treaton装置の指標値は年齢とともに減少した(1年あたり-0.09指標ポイント;p<0.001)。こうした所見は投与された麻酔薬量と独立していた。

・現在の神経モニタリングはほぼ全てが年齢によって影響をうけ、不適切に麻酔薬が高用量になる可能性がある。それゆえに、麻酔科医はこの現象を認識しておくべきで、次世代のモニターではこうした変化を正すべきである。

by anaesthetist | 2021-05-18 19:00 | 脳波モニター | Comments(0)