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ターニケットペインの頻度と影響をおよぼす因子

・整形外科手術でのターニケット使用は無血野をつくることで手術を促進する。しかしながら、ターニケット使用後における合併症がたくさん報告されている。ターニケットペインは最もよくある合併症である。この研究の目的として、整形外科手術でのターニケット使用と関連した疼痛の実際の頻度とさまざまな因子を検証しようとした。

・前向き観察研究を連続した132人の症例でおこなった。18歳から70歳で手術が必要な前腕と下肢の筋骨格系問題をもつ患者が今研究の対象となった。開放骨折や、糖尿病・循環虚脱状態・神経学的異常・コンパートメント症候群・インフォームドコンセント不可といった禁忌の患者は除外された。評価した変数は、ターニケット使用時間・ターニケット圧・麻酔方法・ターニケット解除と再灌流後駆血の間隔・どこの上肢または下肢の手術か・ターニケットペインの重症度・ターニケット解除のタイミング・合併症、を含めた。カイ二乗検定とノンパラメトリック・マン-ホイットニーU検定をデータ解析に使用した。

・上肢の手術では、手術時間が60分未満だと14(51.8%)の症例でターニケットペインをきたし13(48.1%)の症例では疼痛はなく、手術時間が60分以上だと24(60.0%)の症例でターニケットペインをきたし16(40.0%)の症例では疼痛はなかった。下肢の手術では、手術時間が60分未満だと2つ(7.7%)の症例でターニケットペインをきたし24(92.3%)の症例では疼痛はなく、手術時間が60分以上だと14(35.8%)の症例でターニケットペインをきたし25(64.8%)の症例では疼痛はなかった。ターニケットペインの程度は手術時間の延長とともに増大した。統計学的に、上肢と下肢の両方にて、ターニケット膨張時間とターニケットペインの有意な関連性がみられた(それぞれ、p=0.034とp=0.024)。

・ターニケットペインの頻度は、ターニケット使用時間と直接的に比例して、区域麻酔の症例でより高かった。評価された他のリスクファクターである、ターニケット圧・上肢か下肢の手術・ターニケット解除時間と再灌流後駆血の間隔は、ターニケットペインの頻度や重症度に有意な関連はなかった。

by anaesthetist | 2021-07-22 19:16 | ターニケット | Comments(0)