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手術前の経皮的経穴電気刺激は乳房切除術後の慢性疼痛を減少させる:無作為化臨床試験

・さまざまな介入にもかかわらず、乳房切除術後における慢性疼痛の頻度は手術後には50%ほどと高い。この研究の目的として、慢性疼痛を減少させるために麻酔導入前の経皮的経穴電気刺激(TEAS)の有効性を検証し、複数の経穴によるTEASと単一の経穴によるTEASの効果を比較しようとした。

・研究デザインは、多施設無作為化臨床試験であった。

・研究がおこなわれたのは、中国での6つの医療センターで、2016年6月から2018年4月であった。最終のフォローアップは2018年10月26日であった。

・適格患者となる女性は、全身麻酔下に根治的乳房切除術を予定された。

・患者を無作為に満遍なく、対照群(n=188)・単一経穴TEAS群(PC6、n=198)・複数経穴TEAS群(PC6とCV17、n=190)へ一元化したコンピューター生成による無作為化システムを使っておこなった。TEASの施行は麻酔導入前30分間におこなった。みせかけによる対照群では、電極は貼り付けたが刺激はしなかった。麻酔科医・外科医・転帰評価者は介入に盲検化された。

・主要評価項目は、手術後6ヶ月における慢性疼痛の頻度、とした。頻度の群間比較は、未調整でのカイ二乗検定を使用した。

・無作為化された患者576人のうち、568人が今試験を完了した。ITT解析にて、乳房切除術後6ヶ月での疼痛を訴えたのは、複数経穴群では190人の患者中42人(22.1%)、対照群では188人の患者中65人(34.6%)(P=0.007;相対リスク[RR]、95%信頼区間[CI]:0.68、0.52〜0.89)、単一経穴群では198人の患者中72人(36.4%)(P=0.002;RR、95% CI:0.72、0.55〜0.93)であった。手術中のレミフェンタニル消費量と手術後24時間での術後嘔気嘔吐は、複数経穴群の方が対照群よりも低かった。


by anaesthetist | 2021-07-27 19:43 | ペインクリニック | Comments(0)