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乳癌患者の長期的生存における揮発性/吸入麻酔とIV麻酔の比較:後向き研究

・乳癌は世界的に健康の関心事であり、手術による切除が大半の患者で好ましい治療選択肢のままである。その上で、本研究では乳癌患者の無病生存期間と全般的生存期間を手術中にプロポフォールかイソフルランを投与されたかで検証しようとした。

・この後向き研究は994人の患者(IV群、n=530人;揮発性/吸入群、n=464人)でおこなわれ、乳癌手術を2006年1月から2016年12月にイランのシーラーズにあるファイヒ病院でうけた。研究された患者は全員が2020年までフォローされた。患者は2群に、IVと揮発性/吸入で投与された麻酔によって分類された。統計学的分析ではコックス回帰検定をおこなって疾患の再発に影響をおよぼす因子間での関連性を検証し、ログランク検定を使って患者生存期間を評価した。最終的に交絡因子の影響を減らすために、患者全員が年齢・腫瘍サイズ・腫瘍グレードによってマッチングされた。

・ログランク検定の所見によれば、揮発性/吸入群の方が全IV群とくらべて良好な無再発生存期間となった(P=0.039)。しかしながら、全般的生存期間はたいして差はなかった(P=0.520)。

・本研究によれば、2年無病生存期間は揮発性/吸入群の方がより長かったが、5年全般的生存期間と麻酔法に有意な関連性はなかった。

by anaesthetist | 2022-12-05 18:45 | 悪性腫瘍 | Comments(0)