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・気管挿管の必要な患者数は、COVID-19アウトブレイクによって2020年3月と4月に激増している。当胸部外科部門では、COVID-19肺炎で挿管された患者における重症縦隔気腫の外科的治療に関する紹介の頻度が増加している。ここで我々が提示する5症例では、このCOVID-19アウトブレイクのなかで重症縦隔気腫のために7日間にわたり減圧治療が必要となった。我々の仮説として、この機序は進行性の病態生理で、より大きな口径の気管チューブを使用し、より高い換気圧によって、肺胞損傷と気管気管支損傷のリスクが増加するため、とした。こうの症例シリーズを提示するのは、COVID-19患者集団のなかで生命を脅かす可能性があるリスク増加に注目して、集中治療医による管理への手引きを提供するためである。




# by anaesthetist | 2020-05-08 20:08 | COVID-19 | Comments(0)

・股関節骨折患者における直接経口抗凝固薬(DOACs)の周術期転帰は十分に調査されていない。この研究の主要な目的として、DOAC使用者は非使用者とくらべて手術延期となるかどうかを検証しようとした。副次的に、入院日数・死亡・再手術・出血合併症がDOACの使用によって影響をうけるかどうかを調査した。

・股関節骨折で2016年から2017年に単一の外傷センターで手術した314人の患者の診療録を評価した。60歳未満の患者とDOACs以外の他の凝固作用薬を使用している患者は除外した。患者のフォローは入院から術後6ヶ月までおこなった。手術延期の定義は入院から手術までの時間でおこなった。副次評価項目に含めたのは、入院日数・輸血率・周術期出血量・術後創部浸出量・死亡・再手術リスク、であった。全身麻酔と脊髄幹麻酔の使用を比較して登録した。連続した転帰はスチューデントt検定で分析し、カテゴリー転帰はオッズ比で表現した。

・47人の股関節骨折患者(15%)がDOACsを使用していた。手術遅延(29 vs 26時間、p=0.26)・入院日数(6.6 vs 6.1日、p=0.34)はDOAC使用者と非使用者で差はみられなかった。脊髄幹麻酔で手術されたDOAC使用者は、全身麻酔で手術されたDOAC使用者とくらべて、より手術延期となった(35時間 vs 22時間、p<0.001)。周術期出血量・輸血率・出血合併症リスク・死亡は両群で同等であった。

・DOACを使用していた股関節骨折患者は、手術前に抗凝固をしていなかった患者よりも、手術延期・入院日数延長・報告された出血合併症リスクが多いという事はなかった。脊髄幹麻酔で手術したDOAC使用者で手術延期となったが、注意して解釈する必要がある。

# by anaesthetist | 2020-05-07 19:47 | 止血・凝固 | Comments(0)

・190以上の国々で感染が継続しているなか、コロナウィルス感染症2019(COVID-19)は世界的パンデミックが宣言された。臨床転帰と関連するリスクファクターについてのデータが緊急で必要とされている。

・後向きレビューで武漢市のCOVID-19入院患者323人を対象とした。患者の分類は3つの重症度群(非重症・重症・重篤)に、最初の臨床症状に基づいておこなった。臨床転帰が良好か不良かの指定は、疾患の進行と治療への反応に基づいておこなった。ロジスティクス回帰モデルをおこなって臨床転帰と関連するリスクファクターを同定し、ログランク検定をおこなって臨床的進行度の関連性をもとめた。

・現在の標準的治療により患者転帰に有意な向上はみられなかった。単変量ロジスティクス回帰分析によれば、27のリスクファクターが臨床転帰と有意に関連した。多変量回帰分析によれば、65歳以上(p<0.001)・喫煙(p=0.001)・重症度(p=0.002)・糖尿病(p=0.025)・高感度トロポニンI高値(>0.04pg/mL、p=0.02)・白血球増加(>10×10⁹/L、p<0.001)・好中球増加(>75×10⁹/L、p<0.001)が臨床転帰の不良を予測した。対照的に、鎮静薬の投与は良好な転帰と有意に関連し(p<0.001)、生存分析で確認された。

・鎮静薬がCOVID-19への有効な補助治療となる可能性がある。また、高感度トロポニンI高値のような新しいリスクファクターが臨床転帰の不良を予測することが分かった。全体として、この研究から有用なデータをえて早期の臨床判断をくだして、COVID-19の死亡を減少して臨床転帰を向上させることができる。

# by anaesthetist | 2020-05-06 19:45 | COVID-19 | Comments(0)

・この研究の目的として、鼠径ヘルニアに対して経皮的内鼠径輪縫合(PIRS)をおこなう小児で、周術期と術後の呼吸器系合併症の比較をラリンジアルマスク(LM)エアウェイと気管挿管(TI)でおこなった。

・2015年10月から2019年2月の間で、135人の小児患者(97人の男児と38人の女児)は年齢の中央値が4歳で、鼠径ヘルニアに対してPIRSをうけて、この研究の対象となった。患者は2群に分けられた。I群(n=94)ではLMエアウェイが使用され、II群(n=41)ではTIがおこなわれた。患者背景データ・手術時間と麻酔時間・米国麻酔科学会(ASA)術前状態分類・筋弛緩・気腹状態・麻酔の合併症が両群で比較された。

・群間で差がみられなかったのが、年齢(P= .435)・性別(P= .306)・体格指数(P= .548)・ASA術前状態分類(P= .506)・気腹状態(P= .968)・手術時間(P= .968)、であった。麻酔時間は、LMが使用されるとTIとくらべて、有意に短縮した(25分 vs 36分;P< .00001)。麻酔からの回復中、酸素飽和度低下(n=1 vs n=5;P= .003)・喉頭痙攣(n=2 vs n=5;P= .015)・咳嗽(n=0 vs n=4;P= .002)の頻度は、LMエアウェイが気道確保に使用されると有意に低かった。咽頭痛(P= .543)・気管支痙攣(P= .128)・誤嚥(P= .128)の術後頻度は、LMとTIで差異はなかった。

・小児麻酔でLMを使用することで、一般的な合併症の多くが減少し、有意に患者麻酔時間が短縮した。それゆえに、LMは小児の腹腔鏡下ヘルニア修復術に対する小児気道管理で有望な器具である。




# by anaesthetist | 2020-05-05 19:54 | 声門上器具 | Comments(0)

・新型コロナウィルス感染症、COVID-19のアウトブレイクは、2020年2月24日の時点で中国の77,262症例のみならず、他の27カ国にまで影響している。このウィルスは人類にとって新型であり、いまだワクチンが利用できないため、誰もが感受性があって感染する可能性がある。医療従事者はリスクが高く、不幸にも中国では3,000人以上の医療従事者が感染した。麻酔科医は医療従事者のなかでも一層、感染するリスクが高く、それは感染患者と密な接触をしたり、感染患者の気道から呼吸器系の飛沫やエアロゾルに曝露される可能性が高いためである。医療従事者に周術期に加えて、手術室外での緊急気道確保における患者管理に関する最新の推奨を提供するために、2つの大きな麻酔学会である、中国麻酔学会(CSA)と中国麻酔科学会(CAA)がタスクフォースをつくって推奨をかかげた。タスクフォースでは、医療従事者、特に麻酔科医へ感染患者のケアを最適化し、患者・医療従事者・一般市民を感染からまもるよう手助けしてくれる。この推奨の作成は、主に中国で患者に医療をする麻酔科医の実践と経験に基づいたものである。それゆえに、中国以外へこの推奨を適用するには注意してもらい、それぞれの環境・文化・医療システムの独特さ・患者の必要性の考慮すべきである。タスクフォースでは継続的にこの推奨をアップデートし、将来的には新しい情報を取り入れていく。




# by anaesthetist | 2020-05-04 20:07 | COVID-19 | Comments(0)