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・緊急非心臓手術後における冠動脈ステント後の抗血小板剤二剤併用療法(DAPT)に関する患者転帰ははっきりしないままである。

・この後向きコホート研究で対象となった患者は、冠動脈ステント後の抗血小板剤二剤併用療法中で、診断から24時間以内に緊急非心臓手術を2007年4月から2018年3月にうけて、そこでDAPTはアスピリンに対しては5日以内に、P2Y12阻害薬に対しては7日以内に中止した。主要評価項目は、こうした患者における180日死亡、とした。手術後180日以内に出血と関連する因子を副次評価項目として調べ、探索的に180日死亡に影響をおよぼす因子を検証した。

・全身麻酔下でこの研究対象となった11年間にいずれかの手術をうけた62,528人の患者のうち、133人の患者(全体の0.22%、緊急手術患者の1.41%)を解析した。基準を満たした患者のなかで、180日死亡は9.8%であった(13/133)。18人の患者(13.5%)が手術後180日以内に出血を呈し、これが最も一般的な術後合併症であった。術後2日以内の抗血小板剤再開(OR、4.51;95% CI、1.56〜13.0;P=0.005)と、術前に分岐病変へのステント留置(OR、3.28;95% CI、1.07〜10.1;P=0.04)が術後出血と関連した。血液透析中の患者が、180日死亡に関して酷い予後であった(ハザード比、5.73;95% CI、1.87〜17.5;P=0.002)。

・緊急非心臓手術後の180日死亡は、冠動脈ステント後のDAPTをしている患者でおよそ10%であった。術後2日以内の抗血小板剤再開と分岐病変へのステント留置が、術後180日以内の出血と関連した。




# by anaesthetist | 2019-04-30 10:43 | 止血・凝固 | Comments(0)

・院外心停止は世界中で死亡と合併症罹患の主要な原因である。数十年以上前からの目標体温管理の導入で、蘇生後ケアが注目を集めてきた。このレビューでは、無意識状態となった院外心停止患者の最良な病院臨床管理を、目標体温管理に特別な焦点をあてて考察した。心停止後症候群と呼ばれるものはすべての臓器に影響をおよぼし、特別な集中治療ケアが必要とされる。患者は全員が気道確保が必要となり、大半の患者では輸液や血管作動薬の循環サポートを要する。さらに、迅速な冠動脈造影と経皮的冠動脈インターベンションが適応あれば、蘇生後治療の必須なものとなる。目標体温管理を鎮静管理して人工呼吸下でおこなうことが、最も重要な神経保護戦略となる。目標体温管理はできる限りすぐに開始すべきであり、国際ガイドラインによれば少なくとも24時間は32°から36℃に維持すべきで、復温は1時間に0.5℃以上は上げるべきではない。しかしながら、目標体温管理の要素に関して分からないことがあり、最適な冷却速度・目標体温・冷却期間・復温速度に関連して、さらなる研究が求められる。さらに、目標体温管理はいくつかの有害事象を関連している。感染と出血のリスクが中等度に増加し、低カリウム血症や低マグネシウム血症のリスクと同様である。循環は侵襲的にモニターして、循環逸脱があればタイムリーに是正される必要がある。個々の患者における転帰予測は困難であり、自己充足的予言が臨床的評価のみに基づいた早期予測にとって現実的に脅威となる。それゆえに、予測を遅らして多方面からおこなうことが現在のところ、蘇生後ケアの重要な要素と考えられている。最後に、現代の蘇生後ケアにより患者の大半で良好な転帰をもたらすことができるが、それには大きな診断的・治療的な資料資源と特別な訓練が必要である。そのため、最近の国際ガイドラインでは、地域の病院前蘇生システムを統合されて専門化された心停止センターとともに実施することを強く推奨している。




# by anaesthetist | 2019-04-28 22:10 | 心肺蘇生 | Comments(0)

・股関節骨折は、医療従事者にとって高齢者の困難な問題であり、特に多数の併存疾患をもつ患者でそうである。重症の併存疾患のために股関節骨折手術が不可能な患者において、その疼痛が患者の看護ケアで大きな障壁となる可能性がある。最新の股関節神経支配を理解して、大腿神経と閉鎖神経の関節枝を選択的に化学的な除神経をおこなうことで、手術不可能な股関節骨折に関連した疼痛をいまでは管理することができる。

・この後向き症例シリーズにおいて、手術不可能な股関節骨折で化学的な除神経をうけた20人の連続した患者を解析し、疼痛と最大可能股関節屈曲や入院中での坐位可能を含めた機能転帰におよぼす除神経の影響を検証した。また、長期転帰としての歩行の可能性を評価した。

・動作関連疼痛は、除神経手技施行後10分・手技後1日・5日で優位に減少し(P値<.001)、最大可能股関節屈曲の角度は同時期で2倍になった(それぞれ、P値<.001・.003・.002)。患者の50%は手技後最初の5日以内に坐位を取ることができるようになり、そのうち3人は股関節除神経後4ヶ月で補助歩行できるようになった。手技にともなう有害事象はみられなかった。

・結論として、この化学的な股関節除神経は、手術不可能な股関節骨折によりもたらされる疼痛関連とリハビリテーション関連の障壁に対応できる、安全で有効な方法になる可能性がある。




# by anaesthetist | 2019-04-27 23:16 | 末梢神経ブロック | Comments(0)

・我々は、ベッドの上半身を上げることや患者の体位が胃液体内容量の超音波評価におよぼす影響を検証した。超音波検査をおこなった25人の対象者は、仰臥位・左側臥位・右側臥位で、そのベッドの角度を0°・30°・45°・90°にした;これをおこなった際に対象者は絶食状態で、続けて50ml以上の飲水をして10分経ってからおこなった。飲水後、胃内容量は仰臥位や30°の半側臥位とくらべて、45°の半側臥位でより検出された。1.5ml/kg以上の胃液体内容量を検出できるペーラス質的分類スケールの診断的価値は、0°や30°とくらべて、45°で向上した。45°の角度での超音波分類スケールを使用すれば最高の診断能と関連し、その感度と特異度は82%であった。胃前庭部横断面積は右側臥位で測定すると優位に増加したが、ベッドを上げる影響はなかった。さらなる研究で、絶食と液体容量>1.5ml/kgとなる信頼できる定性的超音波検査による検出のための、最も適切な複合する超音波分類スケールとベッド角度を検証する必要がある。




# by anaesthetist | 2019-04-26 23:18 | POCUS | Comments(0)

・星状神経節ブロック(SGNB)は当施設では様々な慢性疼痛症候群の治療に必須の方法である。SGNBをおこなう際には、従来からのランドマーク法でおこなったり、X線透視や超音波を使った画像ガイド下でおこなう。このレビューでは、1990年から2018年に報告されたSGNB関連の合併症を系統的に解析した。7つのデータベースで1990年1月1日から2018年11月27日でのSGNBを検索した。SGNBに関連した合併症の検索結果を系統的レビューとメタ分析のための優先的報告項目(PRISMA)により報告した。合計1909の文献の中から、67の文献が算入基準を満たし、そのなかには260の有害事象が起きた症例が含まれた。260症例のうち134(51.5%)で、SGNBは画像ガイド下におこなわれた。報告された合併症症例のうち64(24.6%)と70(26.9%)がそれぞれ、超音波ガイド下とX線透視ガイド下でおこなわれた。178人の患者(68.4%)では薬剤関連性か全身性の副作用で、82人(31.5%)では手技関連性か局所の副作用であった。大量血腫から気道閉塞のために死亡した、ひとつの症例が存在した。SGNB後に発熱して頸部硬膜外膿瘍で神経学的脱失のために四肢麻痺となった、ひとつの症例報告があった。SGNB後の合併症で報告されたものは、ランドマーク法とX線透視や超音波による画像ガイド下の両方でみられた。この系統的レビューでは、報告された大半の有害事象は、SGNB中かSGNB後まもなくの間に起きた。警戒した観察・意識下鎮静に対する米国麻酔科学会標準のモニター管理・蘇生器具の準備が安全なSGNBの施行には必須である。
# by anaesthetist | 2019-04-25 23:21 | ペインクリニック | Comments(0)